目に関するブログ

眼圧について

Frontiers in Glacoma 58を読んでいて、眼圧と姿勢変動、眼圧下降薬についての記事があったので、その記事をベースにして、まとめようと思います。

僕が以前に書いた記事『緑内障治療のダークサイド』で取り上げたように、眼圧は姿勢で変動します。座っている(座位)時を、仰向け寝(仰臥位)だと眼圧は2mmHg上昇しますし、逆立ちをすると眼圧はさらに上昇してしまいます。

Frontiers in Glacomaの記事では、さらに興味深い内容がありました。

一部抜粋簡略化しますと、

「座位から仰臥位になると1分以内に眼圧は上昇し、仰臥位5分後からはほぼ同様の値を示し、座位に戻ると1分以内に座位の眼圧に戻る。しかし、頭低位(頭が心臓より下)だと経時的に眼圧は上昇する。ただし、座位に戻ると同様に1分以内に座位の眼圧に戻る。」

ということでした。眼圧が姿勢で変動することは冒頭で述べましたし、頭の位置が下になればなるほど眼圧は高くなります。ただ、眼圧が経時的に上昇するのは驚きです。記事でも紹介されている、前立腺の手術では手術の体位が頭低位ですから、眼圧は高くなる可能性があります。とはいえ、前立腺の手術はすると思いますが…

また、記事では眼圧の日内変動と有効な眼圧下降薬についても触れられていました。眼圧は日内変動(1日の間で値が変化すること)します。昼は交感神経が高まり、房水産生が促進されます。夜はその逆になります。よって、眼圧は昼に高く、夜に低くなる傾向があります。ところが、同記事に『NTG患者148眼の眼圧日内変動において姿勢を考慮して再構成すると、眼圧の平均値は夜間就寝時の方が高くなりますとあります。

これはどういうわけか・・・

答えは姿勢です。先ほど、「座っている時(座位時)よりも仰向けの時(仰臥位時)の方が眼圧が高いと言いました。”夜間就寝時は仰臥位”と”夜は眼圧が低い”、この二つの要素が相まって、夜間就寝時の方が眼圧が高くなると考えられます。

ちょっと話が長くなりましたので、眼圧下降薬については軽く触れる程度にします。先ほどの文章で「夜間就寝時の方が 眼圧は高くなる」と言いました。

じゃあ、眼圧下降薬で夜の眼圧を下げるのはどれ?

ということが気になりますよね。そこで、 文章にすると長くなるので箇条書きで簡略化して書きますと、

  • プロスタグランジン(PG)製剤:昼も夜も眼圧を下げる
  • 炭酸脱水酵素阻害薬(記事ではブリンゾラミドとドルゾラミドのみ):夜の眼圧を下げる
  • β遮断薬、交感神経α2刺激薬:夜の眼圧は下げにくい

とあります。これは”交感神経”が関与しています。β遮断薬と交感神経α2刺激薬は交感神経を介して眼圧を下げますが、夜は交感神経より副交感神経が優位になっているため眼圧の下がりが悪いと考えられます。一方、PG製剤と炭酸脱水酵素阻害薬は交感神経を介さない機序で作用するため、眼圧は夜も下がると考えられます。このように点眼薬も時間帯によって効果の大小が異なることが分かります。

もくじ

まとめ

  • 眼圧は姿勢で変動し、特に頭を下にした姿勢では眼圧が経時的に上昇する。
  • 夜は眼圧が下がるが、姿勢を考慮すると夜間就寝時の眼圧は日中よりも高くなる
  • PG製剤と炭酸脱水酵素阻害薬は夜の眼圧を下げるが、β遮断薬と交感神経α2刺激薬は夜の眼圧を下げにくい

いかがでしょうか。血圧は姿勢によって血圧変動することは良く知られていますが、眼圧も血圧と同様に考えてもいいかもしれません。眼圧についてもっと知りたい方は冒頭でも紹介しました、 『緑内障治療のダークサイド』 という記事をご覧ください。それではまた次の記事でお会いしましょう!


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ドクターK
オンライン眼科編集長兼眼科医プロライター/祖母の死→医師を目指す→一浪し眼科医/プロライターとしても500以上の記事を執筆/目の健康、眼科に関する記事をほぼ毎日作成/一緒にお仕事して下さる方はDMして下さい!目の健康に関する情報よ全国へ届け!