おはようございます、doctorKです。皆さんは’バイオレットライト’をご存知ですか?かくいう私もあまり知りませんでしたが、眼鏡屋さんでバイオレットライトをあえてカットしないレンズを売っていたことがきっかけで知りました。 どうやらバイオレットライトは、近視抑制にも繋がり目に良いようです。
ここまで読んで「よく分からない」と思った方はぜひ続きを読んでいただき、バイオレットライトをある程度知ってるという方は論文の章からご覧ください。僕のブログではこのように日常生活で役に立つ、目に関する情報を専門書や論文を交えて分かりやすく説明しています。
バイオレットライトとは
バイオレットライトとは可視光のうち紫外線の手前に位置する可視光での最も波長の短い紫色の光(波長360~400 nmの光)です。余談ですが、紫外線は紫の外の線と書くのは、このバイオレットライト(紫の光)より波長が短いと紫外線に分類されるからです。このバイオレットライトは太陽光に豊富に含まれており、屋外での遊びが減るとこのバイオレットライトを浴びる機会は減っていきます。この後紹介する研究でも分かったことですが、このバイオレットライトが近視進行抑制に重要である可能性があることがわかってきました。現在近視の人口が増え続けおり、2050年には約50億人となると予測され、そのうち強度近視は約10億人に達すると報告されています。中には、近視率96.5%という報告もあるほどです。これだけ近視が増えたのは、屋外での遊びが減り、バイオレットライトを浴びなくなったからという仮説も出てくるでしょう。
バイオレットライトに関する研究
「バイオレットライトを浴びなくなったから近視が増えた」という仮説は本当に正しいのでしょうか。この仮説を科学的な裏付けをする可能性のある論文を紹介します。2017年に慶應義塾大学眼科の鳥居秀成らがnatureに投稿した論文で、タイトルは『Violet Light Transmission is Related to Myopia Progression in Adult High Myopia』です。この論文を発表した後、著者らが所属する慶應義塾大学のHPにて下記のようにコメントしています。
「私たちはすでに、バイオレットライトが若年者(13~18歳時)の眼軸長伸長抑制に有効である可能性を報告しました。今回、さらなる研究により、バイオレットライトは成人の強度近視患者さんに対しても眼軸長伸長を抑制する可能性があることを見出しました。」
対象がバイオレットライトをほとんど透過しないレンズを挿入した群11例11眼と、バイオレットライトを透過する15例15眼を研究対象にしています。一見すると対象者が少ないように思えるかもしれませんが、統計的に偶然では起こりにくい確率で差が出ています。
おわりに
バイオレットライトは聞き慣れない言葉であり、その認知度は眼科医にとっても十分ではありません。また、バイオレットライトについては有用な論文は出ていますが、まだまだ研究段階です。これをメガネに応用してもなお有効なのかなどについては検討していく必要があります。このようなことを考慮に入れながら、近視を抑制する方法として取り組むことは重要なことだと思います。
このようなバイオレットライト以外にも近視抑制に有用な方法があります。下記に関連記事として記事を載せますので、興味ある方は併せてご覧ください!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
参考文献
Scientific reports 7 (1), 14523, 2017
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