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蛍光眼底造影検査とは
蛍光眼底造影検査にはフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)とインドシアニングリーン蛍光造影検査(IA)がある。
フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)では網膜循環が、インドシアニングリーン蛍光造影検査(IA)では脈絡膜循環(※)が観察できる。
※正確には網膜循環も描出されるが、網膜血管は脈絡膜血管像に埋没するので網膜主幹動静脈の観察可能
フルオレセインは腎臓代謝されるため、腎機能低下例は半量投与を行い、透析患者はさらにその後透析をしてもらう。インドシアニングリーンは肝臓代謝のため腎機能低下例でも行うことができる。
フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)の解釈
まずフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)で使われる用語を確認します。
背景蛍光:網膜血管と血管の間の蛍光
過蛍光:背景蛍光よりも白く描写されている場合
低蛍光:背景蛍光よりも黒く描写されている場合
動脈期:脈絡膜毛細血管由来の背景蛍光が見え出すと同時に、視神経乳頭から網膜動脈への色素の流入が見られる時期。
網膜内循環時間:造影色素が網膜動脈から毛細血管を通って網膜静脈に流れ込むまでの時間。
動静脈期:静脈の管壁に沿って流れ、静脈内の層流が描出され、次第に静脈管腔内全幅を色素が流れるようになる。こうして網膜動脈および網膜静脈が明瞭に描出されている時期を動静脈期という。
1.血管構造異常
A.異常血管出現
新生血管あるいは既存の血管が変化する異常である。
新生血管は網膜あるいは脈絡膜に発生する。
①網膜新生血管が発生する疾患
など
②脈絡膜新生血管が発生する疾患
- 加齢黄斑変性症
- 近視性脈絡膜新生血管
- 新生血管黄斑症
など
②既存の血管が変化する疾患
など
B.血管消失
血管の閉塞により血管が消失して見える。
①動脈の閉塞
- 網膜動脈閉塞症
- 網膜動脈炎
など
②静脈の閉塞
など
③毛細血管の閉塞
など
C.血管形成不全
など
D.血流異常
①網膜血管への色素流入遅延
など
②背景蛍光への色素流入遅延
など
2.血管機能異常
A.色素漏出
①既存の網膜血管からの色素漏出
など
②網膜新生血管からの色素漏出
など
③網膜色素上皮からの色素漏出
など
④視神経乳頭からの色素漏出
- 視神経乳頭血管炎
など
3.蛍光輝度の異常
A.過蛍光
①window defect
網膜色素上皮の脱色素部で、脈絡膜毛細血管からの蛍光が網膜色素上皮のメラニン色素で阻止されずに透過してくる。
造影初期~後期まで過蛍光部の拡大はなく、色素の血中濃度が低下すれば輝度は低下する。
②色素漏出
色素漏出色素が周囲へ拡散するため、過蛍光部は拡大し、境界は不鮮明となる。
網膜血管内皮や網膜色素上皮での血液網膜柵の破綻を意味する。
③色素貯留(pooling)
網膜色素上皮剥離や剥離網膜下腔などの限局したスペースに色素が貯留する。
境界は明瞭である。
④色素染色
時間経過とともに線維性組織やドルーゼンなどに色素が取り込まれ、次第に過蛍光となる。
過蛍光部の拡大はない。
B.低蛍光
①血流の欠如:造影経過で、色素流入がみられない。
- 網膜血管の造影色素欠如:陳旧性網膜静脈閉塞症、陳旧性網膜血管炎で見られる。
- 網膜毛細血管の造影色素欠如:背景蛍光が周囲より弱く、出血による蛍光阻止よりは強い。糖尿病網膜症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、未熟児網膜症、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管炎など。
②色素充盈遅延:時間経過で色素が流入する。
③蛍光阻止
- 網膜前出血
- 網膜出血
インドシアニングリーン蛍光造影検査(IA)の解釈
脈絡膜動脈が描出され、ほぼ同時に脈絡膜毛細血管由来のベール上蛍光が出現する。そして、その後すぐに脈絡膜静脈が描出される。造影後期である20分以降は、網膜色素上皮とBruch膜に残ったびまん性傾向が微弱描出される。
1.異常血管描出
A.網膜血管
- 網膜細動脈瘤:網膜出血による蛍光阻止の中に、強い蛍光を発する部位が網膜動脈の走行部位上に存在する。
B.脈絡膜血管
- ポリープ状脈絡膜血管拡張
- 異常血管網:加齢黄斑変性症で見られる。
- とくろ様脈絡膜血管:脈絡膜血管腫で見られる。造影色素が漏出し、造影早期よりびまん性に過蛍光となる。
2.脈絡膜血管透過性亢進によるびまん性蛍光
- 中心性漿液性網脈絡膜:造影開始5~10分後に、フルオレセイン造影での色素漏出部やwindow defect部に認める。
- Uveal effusion:造影早期からフルオレセイン造影での色素漏出部やwindow defect部に認める。
3.色素流入遅延
蛍光眼底造影検査の注意点(副作用)
1.全身皮膚及び尿の黄色化
造影検査後1~2日かけてフルオレセインは尿から排泄されるため、全身皮膚及び尿は黄色くなる。
2.嘔気・嘔吐
嘔吐中枢刺激による嘔気を認め、時に嘔吐することがある。
3.血圧低下や迷走神経反射
4.アレルギー反応
蕁麻疹が出現することがある。まれにアナフィラキシーショックが起こりうるため、CTや血管造影剤でアレルギー既往があれば禁忌となる。
参考文献
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