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・Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)ってどんな病気なの?
と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。
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Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)とは
1948年にAdolf PosnerとAbraham Schlossmanが報告し、緑内障性毛様体炎発症と命名され、その後、Posner-Schlossman症候群として知られるようになった。
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群) は片眼性で急激な眼圧上昇(40~60mmHg)を繰り返す、予後良好な虹彩炎である。この発作は数日で寛解することが多い。
その原因としてサイトメガロウイルス(CMV)や単純ヘルペスなどが報告されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。その他にも自己免疫反応、血管内皮機能の異常や隅角発達障害であるという報告もある。
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の疫学
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の疫学的特徴は下記の通りである。
- やや男性に多い。
- 20〜50代に多く、60歳以上で発症することは稀である。
- 人種差、HLA差別、地域差は特にない。
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の自覚症状
自覚症状として、発作時に霧視、虹視症、軽い頭痛などを訴える。
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の診断
下記の所見から総合的に判断する。
- 片眼性の発作性の高眼圧(40~60mmHg)を繰り返す。
- 軽度の前房内細胞がある。
- 白色で色素を伴わない小~中等度のKPs(角膜後面沈着物)が角膜中央から下方にかけて少数見られる。
- 瞳孔はやや散大している。
- 眼圧上昇による角膜浮腫は軽度である。
- 寛解期の眼圧:僚眼>患眼
- 虹彩色素の濃さ:僚眼>患眼
- 隅角は開放隅角で、PAS(周辺虹彩前癒着)は認めないが、隅角線維柱帯の色素は僚眼より患眼の方が薄い。
- 発作時の虹彩炎は軽度だが、遅れて豚脂様角膜後面沈着物が出現する場合が多い。
- 虹彩結節は認めないが、隅角結節を認めることがある。
- 眼底に炎症所見はないが、発作を繰り返すと視神経乳頭陥凹拡大し、緑内障性視野障害をきたすことがある。
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の治療
Posner-Schlossman症候群(ポスナーシュロスマン症候群)の治療
- ステロイド点眼薬
- 眼圧下降点眼薬および炭酸脱水素酵素阻害薬内服
※ピロカルピンは禁忌
CMVの関与も言われているが、感染症の治療を行わなくても寛解する。発作を繰り返す場合には視神経乳頭の緑内障性変化を防ぐため緑内障手術をすることもある。寛解期は無治療で良い。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 眼科学第2版
- ぶどう膜炎を斬る! (専門医のための眼科診療クオリファイ)
- 眼科疾患最新の治療 2013-2015
- 日本眼科学会雑誌第123巻 第6号:ぶどう膜炎診療ガイドラインより
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