麦粒腫について
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の説明書
麦粒腫って何?
一般的に「ものもらい(その他にも”めばちこ”、”めいぼ”などの言い方がある)」と呼ばれる病気で、涙の成分を出す腺やまつげの根元などにバイ菌が感染することが原因です。
ものもらいの症状は?
まぶたが部分的に赤く腫れ、痛みや痒みを伴います。バイ菌による炎症が強くなると、赤み、痛み、痒みの症状は強くなります。
にきびのように一部が膿(うみ)になり、そこから黄白色の液体が出てくることがあります。この膿が出てくれば回復の方向に向かいます。
ものもらいの治し方は?
抗生物質を内服あるいは点眼、眼軟膏を使って治療を行います。また、麦粒腫の程度によっては切って、膿を出すことがあります。
ものもらいの予防方法は?
ものもらいは目(まぶた)の周りが不衛生だと起こりやすいとされています。
下記のうち当てはまるものがあれば要注意です!
- アイメークを毎日する
- もともとニキビができやすい
- 汚い手で目をよく触る
- 不規則な生活や寝不足
- 大量の飲酒やストレス
これ以外にも原因はありますが、過度なアイメークを避け、もしものもらいができたら触らないようにすることが重要です。
ものもらいのFAQ
Q.ものもらいがありますが、学校や会社に行ってもいいですか?→A.周りに移ることはないので問題ありません。
Q.ものもらいが治るまでどのくらいかかりますか?→A.約1週間以内になることが多いですが、程度によってはそれよりも長引くことはあります。
Q.眼帯はしても良いですか?→A.眼帯はしない方が良いです。眼帯が不潔になると治りが悪くなります。
Q.妊娠中・授乳中なのですが、薬は使えますか?→A.程度によっては使うことがありますが、安全性が担保されているわけではありません。
Q.コンタクトレンズは着けても良いですか?→A.着けないでください。
ものもらいの場所によってはコンタクトレンズを着けても問題ないですが、基本的には着けない方が良いでしょう。
ものもらいにコンタクトが接触すればそれが刺激になりますし、ものもらいのバイ菌がコンタクトで感染を起こす恐れもあります。眼科を受診して許可が出るまでコンタクトは着けない方が良いです。
Q.ものもらいは目は温めた方が良いの?冷やした方が良いの?→A.場合によりますが、痛みを取りたいなら冷やしましょう。
イメージとしてはものもらいになったら目を冷やす、ものもらい予防のために目を温めた方が良いです。ものもらいの痛みを取るためには目を冷やすのが良いとされています。逆に、ものもらいになりやすい人の中には、目を温めた方が良い人がいます。
Q.ものもらいになりやすい人っているの?→A.はい。
ものもらいはアイメークが強かったり、汚い手で触ったりするとできやすいです。アイメークをしたら化粧落としをきちんと行い、目の周りを清潔にすることが重要です。
また、不規則な生活、食生活でなりやすいともされていますので、健康的な生活を心がけるようにしましょう。
Q.眼科に行かずに治す方法はありますか?→A.ありますが、最終的には眼科へ行った方が良いでしょう。
程度の軽いものもらいには市販の目薬が効くこともあります。薬局やAmazonなどでも購入できます(→Amazonサイトへ)。2-3日経っても治らなければ眼科へ行きましょう。
麦粒腫とは
眼瞼の皮脂腺、汗腺またはマイボーム腺の急性化膿性炎症で痛みを伴う。俗に「ものもらい」とも言う。
麦粒腫の分類
麦粒腫は外麦粒腫と内麦粒腫に分けられる。
- 外麦粒腫:睫毛周囲の皮脂腺であるZeis腺や汗腺のMoll腺に生じる。
- 内麦粒腫:マイボーム腺に生じる。
原因菌はCNSやアクネ菌、Corynebacterium属、ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)など
麦粒腫の症状
初期は小さな硬結と紅斑腫脹を伴う小丘疹で始まり、発赤と腫脹、その部位に一致した圧痛や自発痛と伴う。数日で頂点に膿栓を有する膿点を形成する。この膿点は外麦粒腫だと皮膚側に、内麦粒腫では結膜側に膿点が観察される。
麦粒腫の治療
治療は薬物治療と手術治療がある。
1.薬物治療
抗菌薬投与主体で治療を行う。排膿があるなら細菌分離培養と薬剤感受性試験を調べることが望ましいが、細胞分離培養検出率は70%程度である。
まずは点眼、高度であれば内服短期処方。キノロン系も効果はあるが、耐性回避のため0.5%セフメノキシム点眼を1日3-4回、疼痛改善時約1週間投与する。
2.手術治療
内麦粒腫では強い自発痛が強いため、切開排膿し改善を図る。外麦粒腫では皮膚側から切開し、眼瞼縁に平行に切開する。一方、内麦粒腫の場合は結膜側から切開し、眼瞼縁に垂直に切開する。
麦粒腫の予後
治療に良く反応し、後遺症を残さないことが多い。強い炎症が継続する、または反復すると瞼縁に発赤、腫瘤を残す場合がある。もし反復する場合は易感染性も考慮し、免疫不全など全身検索を行う。