おはようございます。早速質問です。
「あなたはスマホやパソコンを使いますか?」
「ハイ」と答えた方はこれ以降の記事を読んでくださいね。
というのも、スマホやパソコンが発達してからドライアイの患者は増えてきており、現在日本では800〜2,200万人もの患者がいます。
さらに、VDT症候群という新たな病気の概念も生まれるくらい、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスは目に影響を与えます。
デジタルデバイスは目に”だけ”影響を与えると思っていたら、ドライアイはメンタルにも影響するかもしれないという、興味深い論文を見つけましたので紹介します。
論文は2016年に香港中文大学のK H Wanらが発表した論文です。タイトルは
『Depression and anxiety in dry eye disease: a systematic review and meta-analysis(ドライアイ疾患における抑うつと不安についてのメタ分析)』という論文です。
メタ分析は複数の分析をさらにまとめた信頼度が極めて高い分析で、現在最も信頼度が高い論文に分類されます。この研究の対象は2,980,026人、約29万人の患者を分析しています。
結果は
DED was associated with an increased prevalence of depression (summary odds ratio (OR)=2.92, 95% CI: 2.13–4.01, P<0.00001) and anxiety (OR=2.80, 95% CI: 2.61–3.02, P<0.00001). The depression score (standardized mean difference (SMD)=0.81, 95% CI: 0.48–1.15, P<0.00001) and anxiety score (SMD=0.37, 95% CI: 0.10–0.64, P=0.007) were higher in DED patients than in controls. Subgroup analyses revealed that the prevalence and severity of depression are greatest in primary Sjogren’s syndrome patients. No study reported the incidence.
「ドライアイと抑うつ気分(鬱々とした気分)、ドライアイと不安感には相関があり、その頻度はドライアイでない人と比べるとそれぞれ2.92倍、2.80倍。
そして、抑うつの重症度と有病率はシェーグレン症候群(ドライアイやドライマウスを主症状とする自己免疫疾患)の患者で最も高かった」そうです。
ドライアイがあると、抑うつ気分や不安感が生じる頻度は約3倍も上がるというのは驚きですね。
もし精神的に落ち込みやすい人や不安を感じやすい人にドライアイがあるなら、ドライアイの治療を行うことで症状は少し改善するかもしれません。
逆に、抑うつや不安感に苛まれていなくても、長時間パソコンを見ていて少し気分が乗らず、仕事のやる気が出ないという方にも効果があるかもしれません。
抑うつ気分や不安感の強い方はもちろんですが、普段パソコンなどデジタルデバイスをよく使う人は一度眼科を受診してドライアイがないか確認するのも良いかもしれません。
とはいえ、ドライアイってどんな病気か分からない方もいらっしゃると思います。そんな方は僕が以前に書いた『ドライアイとは』という記事も一度読んでみてください。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!