最新技術と目の病気という連載をしていますが、今日はその第4弾!「緑内障」という目の病気について解説していきたいと思います。
緑内障とは
緑内障はご存知の方もいらっしゃると思いますが、緑内障はガイドラインで
視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である。
と定義されている病気で、日本人の失明原因の第1位とされています。また、20人に1人が緑内障であるとされています。緑内障は早期発見、早期治療が重要で、視野障害が急激に進むのを抑えることが可能です。
ディープラーニングを緑内障へどう活かすか
緑内障は失明原因の1位であり、その早期発見の重要性から眼科健診でも注意して見る必要があります。そこで、企業等の眼科健診では患者さんの眼圧と視神経の形を見て、緑内障の精密検査が必要かどうか判断します。
眼圧は正常の値が10~21mmHgと決まっていますが、視神経の形の解釈は眼科医でも評価にバラつきがあります。そんなバラつきを減らす一助になると思われるのが、ディープラーニングという最新技術です。ディープラーニングという技術の精度がどのくらいか早速見ていきましょう。
ディープラーニングとは
僕はディープラーニングの専門家ではありませんので、コトバンクより言葉の定義を引用します。
ディープラーニングとは「コンピューターによる機械学習で、人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層的にすることで、コンピューター自らがデータに含まれる潜在的な特徴をとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術や手法」です。
緑内障の場合を考えると、緑内障に特徴的な視神経の形をコンピューターに覚えさせます。その特徴を覚えたら、健診として患者の画像をコンピューターに見せ、その画像が緑内障らしいかどうかを判断させます。
ディープラーニングの正確性はどうか
今日紹介する論文は2018年にインドのU Raghavendraらが発表した論文で、タイトルは『Deep convolution neural network for accurate diagnosis of glaucoma using digital fundus images』です。
この研究は1426枚(正常:589枚、緑内障:837枚)の画像を用いて検証しています。結果は下記のようになりました。
We have achieved the highest accuracy of 98.13%.
正確性98.13%という結果は非常に高い数値です。この結果ほぼ確実な診断ができていることになります。これだけの正確性があれば企業健診で眼科医が診るよりも見逃しが少ないかもしれません。
とはいえ、まだまだ開発中の技術、そう遠くない未来にこの技術は使われるようになるとは思いますが、そのためにはより多くのデータ集積と検証が重要になってくると思います。
このようにディープラーニングは目の病気に対して応用されようとしています。どのような病気に応用されようとしているかは下の記事をご覧ください。それではまた次の記事でお会いしましょう!
参考文献
Information Sciences 441, 41-49, 2018