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遷延性角膜上皮欠損(PED)とは
何らかの原因により、角膜上皮の全層性上皮欠損が持続した状態を遷延性角膜上皮欠損(PED)という。角膜上皮であれば1週間以内に創傷治癒するはずなので、1週間以上治癒せずに残存している角膜上皮欠損は遷延化している可能性があるため原因を調べる必要がある。
遷延性角膜上皮欠損(PED)の原因
- 三叉神経麻痺:DM、角膜ヘルペスなど
- 角膜ジストロフィ(格子状角膜ジストロフィⅠ型)
- 感染、アレルギー:角膜ヘルペス、春季カタルなど
- 眼表面の乾燥:ドライアイ、閉瞼不全、兎眼など
- 自己免疫疾患:関節リウマチ
- 幹細胞疲弊症:Stevens-Johnson症候群、眼類天疱瘡、化学外傷、熱傷
- 薬剤性:点眼薬(β遮断薬、アミノグリコシド、ジクロフェナクナトリウムなど)、抗悪性腫瘍薬(TS-1など)
遷延性角膜上皮欠損(PED)の症状
PEDに特徴的な自覚症状はなく、原因となる疾患に伴う自覚症状が主な訴えになる。
遷延性角膜上皮欠損(PED)の所見
典型例は、横長の楕円形の上皮欠損を示すことが多い。また、浮腫により上皮が周堤(rolled-up edge)を築いたように輪状に盛り上がる。上皮欠損の期間が長くなるとすりガラス様混濁が観察される。
遷延性角膜上皮欠損(PED)の治療
1.保存的治療
原因を除去し、油性眼軟膏の点入と強制閉瞼の併用、ソフトコンタクトレンズ装用を行う。
2.外科的治療
①瞼板縫合
閉瞼不全等により十分な閉瞼が得られない場合には瞼板縫合を検討する。
②羊膜移植
脆弱な角膜上皮を羊膜で被覆することにより保護を期待して行う。上皮が再被覆すれば羊膜を除去する。
③輪部移植、培養上皮移植
原因が角膜上皮幹細胞疲弊症の場合には角膜輪部移植が適応となる。また、自家培養角膜あるいは口腔粘膜上皮細胞を用いた再生治療も臨床応用されている。
参考文献
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