眼瞼とその疾患

睫毛内反・眼瞼内反

睫毛内反・眼瞼内反とは

眼瞼内反とは眼瞼縁が内側に向かうことで、睫毛が眼表面に触れることを言い、原因は先天性や加齢性、瘢痕性がある。特に先天性のものを睫毛内反、加齢性や瘢痕性のものを眼瞼内反と言うことがある。先天性の場合は下眼瞼鼻側により強く睫毛内反が現れるが、加齢性の場合は下眼瞼全体に強く現れる。

Eye Rounds HPより引用

睫毛内反・眼瞼内反の自覚症状

  • 異物感(ゴロゴロする感じ)
  • 瞬目増加(瞬きが多い)
  • 球結膜充血(目が赤い)
  • 眼脂(目やに)
  • 流涙(涙が多く出る)

など

睫毛内反・眼瞼内反の他覚検査

眼瞼の弛緩の程度を確認するために、あかんベーテストpinch testを行う。これらは術式を決めるために必要な検査である。

あかんベーテストとは、垂直方向の弛緩を確認する方法で、下眼瞼を指で下方に牽引し、あかんベーの状態にした時、下眼瞼牽引筋腱膜が断裂していると瞼板の下縁が固定されていないため結膜に溝が形成される。

水平方向の弛緩の評価にはpinchtestを行う。指で下眼瞼皮膚をつまんで引き下げ、眼球表面から眼瞼縁が離れた距離を測定する。正常は5mm程度であり、8mm以上離れたら陽性である。

他にも下眼瞼の皮膚をつまんで手前に引き、離したときの眼瞼の戻りの速さをみるsnap back testや、外眼角靭帯弛緩の評価に、下眼瞼をつまんで耳側または鼻側へ牽引し、下涙点の到達距離を測定するlateral direction testやmedial direction testなどがある。

また、座位で内反症がはっきりしない場合は、臥位になると内反症を生じることがある。その場合には、診察室で仰臥位によって内反症が誘発されるかどうかを確認する臥位誘発テストを行う。

睫毛内反・眼瞼内反の治療

成長とともに1歳前後で治癒してしまうことが多いが、2,3歳になっても症状が続く場合は手術加療を行う。眼脂・流涙があれば清拭、抗菌薬点眼を行うなど、自覚症状に対しては対症療法を行う。

しかし、睫毛抜去では限界もあるため、その場合は手術加療を考慮する。若年者であれば通糸法や皮膚切開法などが行われ、加齢によるものであればJones変法や柿崎法などが行われる。

従来の埋没法であるeverting sutureは垂直方向の弛緩に対する方法であり、水平方向の弛緩がある患者に対してはwide everting sutureが有効とされる。Wide everting sutureは1本の糸で皮下と結膜下を広範に通糸する方法で、水平方と垂直を同時に短縮することができるため、術後の再発を軽減することができる。

Jones変法は、弛緩もしくは断裂した下眼瞼牽引筋腱膜を瞼板に縫着する術式である。埋没法に比べ手技が煩雑であり手術時間を要するが、垂直方向の弛緩に対する有効な手術方法である。

水平方向の弛緩に対する術式は、lateral tarsal stripやKuhnt-Szymanowski法などがあり、水平方向の弛緩を伴う内反症の場合、Jones変法と併用することで術後の再発の減少が期待される。

睫毛抜去は睫毛再生時に角膜上皮障害をきたすため不必要に行うべきではない

睫毛内反・眼瞼内反の予後

術後に再発する恐れがある。特に、先天性の睫毛内反は再発する確率がより高いとされている。このことは手術前によく説明しておく必要がある。

参考文献

  1. 眼科学第2版
  2. 今日の眼疾患治療指針 第3版
  3. 野田実希、石嶋 渉:眼瞼内反症、外反症。専門医石嶋くんの眼瞼チャレンジノート、p178–186、金原出版、2017
  4. 大島浩一:D診断・治療に必要な検査。眼科臨床エキスパート眼形成手術―眼瞼から涙器まで(高比良雅之、後藤 浩 編)、p42–48、医学書院、2016
  5. 粂 惠吾:下眼瞼内反症の外科治療。臨眼 77:36–41, 2023
  6. The tarsal strip procedure
  7. Comparison of surgical outcomes between simple posterior layer advancement of lower eyelid retractors and combination with a lateral tarsal strip procedure for involutional entropion in a Japanese population

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