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有機リンとは
有機リンは抗コリンエステラーゼ作用を持ち、ムスカリン様作用、ニコチン様作用、中枢神経作用を起こす。
有機リンによる症状
急性期の症状
1.眼症状
視力低下、眼痛、視野狭窄、結膜充血など
2.全身症状
A.ムスカリン様作用によるもの
縮瞳、徐脈、分泌過多(涙、汗、鼻汁、唾液など)、下痢、嘔吐
B.ニコチン様作用によるもの
徐脈、高血糖、尿糖、線維束性収縮
C.中枢神経作用
不安、興奮、不眠、意識障害、昏睡、呼吸停止
慢性期の症状
1.眼症状
急性期の症状に加え、中心暗点、近視化、直乱視化をきたす。眼球運動では上方注視麻痺が出現する。
2.全身症状
急性期の全身症状に加え、錐体路徴候、下肢固有感覚機能低下、めまい、勃起障害などをきたす。
診断
有機リンへの明らかな曝露と上記症状、そして血球コリンエステラーゼ活性の低下を認めるとき診断できる。
治療
1.急性中毒の場合
全身管理、胃腸洗浄を行うと同時に、アトロピン2~5㎎を15~30分ごとに静注する。また、コリンエステラーゼ活性回復のため、プラリドキシム1000㎎を30分かけて投与する。
2.慢性中毒の場合
0.5㎎アトロピン1Aおよびプラリドキシム1000㎎を10%ぶどう糖100mlに混注して毎日点滴投与する。
参考文献
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