目に関するブログ

シンポジウム 16 進化する屈折矯正手術

稗田先生による進化するカスタムレーシック

  • 中央角膜を切除することで解析径を広くすれば高次収差が増加する
  • モナリン式を用いた初期の切除方法ではコントラスト感度が低下するという報告がある。
  • 同一個体でカスタム照射方式とソフトコンタクトレンズ装用の視機能比較はされていない。
    →3カ月、6カ月でコンタクトレンズ、レーシックの視機能に差はない
  • カスタム照射は極端な不正乱視は測定不能、また照射量が増えると高次収差を誘発する。
  • 球面収差は周辺への照射量を増やして補正
  • 照射面として角膜の高低差情報は有用である

中村によるSMILEの進化

  • レーザー屈折手術の17%以上がSMILE
  • LASIKの希望者は激減
  • ICLが出てきて、対象患者がそちらに流れつつある
  • SMILE(Small incision femtosecond lenticule extraction)は、2-4㎜の切開で行う(LASIKの10%)。
  • SMILEの利点
    • ドライアイになりにくい
    • 生体力学的に安定している
    • 戻りが少ない
    • 外来でのストレスも少ない
  • 知覚神経走行よりも深層で切開するため、LASIKよりも影響が少ない
  • SMILEの術中合併症:Suction Loss、Lenticle rapture、DLK、角膜上皮迷入、追加矯正
  • SMILEは追加矯正しにくいが、そもそもその必要性は1.34%程度であった

神谷先生による角膜クロスリンキングの進化

  • 角膜クロスリンキング(CXL)はコラーゲン線維間の架橋密度を増す。角膜組織を硬くし、進行予防の唯一のエビデンスがある治療方法である。
  • CXLはビタミン点眼後紫外線で固める。約90~95%がCXL後に進行停止。また、CXLによって角膜移植件数が半減する。
  • ブリリアン散乱を用いて局所バイオメカニクスを測定可能となった(CuRV,PiXL)
  • CuRVのクロスリンキングの合併症:一過性のヘイズ、眼圧上昇
  • PiXLは局所的に剛性を上げて角膜形状を変化させ、軽度・遠視・乱視矯正が可能。
  • あくまでPiXLは白内障手後、LASIK後のタッチアップ、円錐角膜や角膜形状不正眼への屈折矯正である。
  • PACK-CXLは感染性角膜炎に応用されている。微生物に対する抗菌活性、架橋形成により角膜融解を抑制。微生物が産生するタンパク分解酵素への不活性化。三叉神経機能低下による疼痛改善。
  • PACK-CXLのメリット:耐性菌を生じず、角膜融解を抑制する。開発費用が不要である。
  • PACK-CXLのデメリット:臨床研究での評価が困難。菌種別効果の検討が不十分。混濁下・深部への効果が不明。内皮細胞障害がある。
  • 水疱性角膜症(BK)への疼痛抑制への応用
  • リボフラビン溶液の浸透圧による脱水効果、CXLによる細胞外の水分貯留の改善→角膜表面の組織間の水分貯留が改善、三叉神経機能低下による疼痛緩和などが期待されるが、永続的ではなく、半年から1年間程度

小島先生によるICLの円錐角膜に対する治療の進化

  • 円錐角膜の屈折矯正手術の特殊性:進行する可能性があり、角膜不正乱視、屈折検査が難しい(再現性が低い)、症例によってバリエーションが大きい
  • 円錐角膜は禁忌だったが、矯正視力が良好かつ非進行性の円錐角膜は慎重適応、3D以上6D未満が慎重適応になったため、円錐角膜患者のICL治療への道が開いた
  • ICL手術禁忌例:進行性円錐角膜、浅前房、角膜内皮障害、活動性の外眼部炎症、白内障、内眼炎、重症のDMやアトピー性疾患など、創傷治癒に影響を与える可能性の高い全身性あるいは免疫不全疾患
  • 妊娠中または授乳中の女性
  • 角膜内リングのメリット:角膜中央部に影響せず、抜去すれば元に戻すことも可能で、不正乱視が矯正可能(特に非対称成分)、デメリットは屈折矯正手術としては予測性が悪いことが挙げられる。
  • 一方で、ICLのデメリットは不正乱視が矯正できないが、メリットとして高い予測性がある。
  • バイオプティクス=角膜屈折矯正手術+Phakic IOL
  • 円錐角膜の場合のバイオプティクス=角膜内リング+Phakic IOL
  • 従来は屈折矯正手術をしても、その後の屈折の安定性が担保されなかったが、CXLの登場で大きく変化する可能性がある。

荒井先生による多焦点眼内レンズの進化

  • 多焦点IOLは光学的損失は最近は7-8%程度→コントラスト感度低下予防が期待できる
  • PanOptix:非球面3焦点レンズ。全体のバランス重視・近方重視
  • Acriva Trinova:3焦点+EDoF、1Dから乱視矯正可能とされる。1.8㎜からの挿入が可能である。遠方から近方重視。運転者向き。
  • AlsaFit Fourier:3焦点レンズ、1Dから乱視矯正可能とされる。1.8㎜からの挿入が可能である。全体のバランス重視。暗所での近方に強い。
  • Lentis MplusX:シャープな遠方視重視・暗所での近方に強い。

オンライン眼科のサポート