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佐藤先生による後天共同性内斜視の特徴
- 後天共同性内斜視は内斜視のうち
- 生後6カ月以降に発症する(後天性)
- 外転制限を伴わない(共同性)
- このうち、発症が急性であるものを急性後天共同性内斜視(AACE)とする。
- AACEの特徴
- 融像が壊されたことによるもの
- 軽度の遠視のあるもの
- 様々な程度の近視のあるもので若年者に発症するもの
- 屈折調節性内斜視
- 調節けいれん(精神的ストレス)
- 頭蓋内疾患
- Burian,Milerらによる若年者に見られるAACEの分類
- Ⅰ型(Swan type):片眼の遮蔽や視力低下による融像の遮断により起こる。
- Ⅱ型(Burian-Franceschetti type):明らかな原因が不明で心身のストレスを伴うことがある。
- Ⅲ型(Bielschowsky type):近視(-5.0D以下)と屈折の低矯正が関連する。
- デジタルデバイスと後天性内斜視の関連
- スマホ過剰使用で斜視の発症や増悪する可能性がある。
- 近視の合併が多い。眼鏡が低矯正だったり、装用していない患者さんが多い。
- スマホを見ると目がかなり内側に寄る
- AACE発症メカニズムとして、近視の低矯正、精神的ストレス、両眼視不良、過剰な近業(スマホなど)が関与している
- 調査報告:デジタルデバイスの視聴と複視の関連を自覚する人が44%いた。デジタルデバイス使用制限で30%の人の眼位が改善した。
岡本先生による共同性水平斜視術後の複視
- 斜視手術の満足度が低い要因
- 術後複視
- 抑うつ状態
- 不安症
- 眼瞼下垂などの顔面の異常存在
- ET術後ETでは低矯正に注意が必要で、術式をよく検討することで防げる可能性がある
- ET術後XTでは調節要素も加味した術式の選択が必要と考えられた。
森先生による眼科手術後の複視
眼科手術後の複視の病因
- 手術後の創傷治癒過程で生じるもの(機械的斜視)
- 筋膜組織の瘢痕化
- インプラント材料(バックルなど)による機械的制限→一過性が多い
- 外眼筋に対する直接外傷や麻酔薬の毒性
- 上記によらない
- 両眼感覚入力の相違による融像の破れ
- 元からあった斜視の顕性化や増悪
- 長期片眼遮蔽によって突如中枢性融像が破れる
- 黄斑移動術による黄斑変性の治療
- 不同視や左右差のある乱視を矯正する際の、眼鏡によるプリズム効果の持ち込み
- 現在、機械的斜視は減少している。
- 緑内障用ドレナージ装置インプラント後の複視は装置の改良により減少傾向。複視が出ても原疾患の治療継続が原則で、水平・垂直複視に対しては、光学的斜視矯正など保存的治療を、回旋複視に対しては、対側眼での手術も選択しがたい。難治な複視に対しては、遮閉膜や片眼遮閉。
- 眼科手術では、
- 術前に眼位を確認
- 術前に複視が起きる可能性を説明
- 眼科手術後の複視への対応
- まず経過観察
- 自然回復が期待できない眼球運動障害が斜視手術の適応
- 原疾患の治療が優先
- 水平・垂直複視には光学的斜視矯正
- 回旋複視には斜視手術が必要
- 難治な複視に対しては、遮閉膜や片眼遮閉
後関先生による眼窩プリ―異常が引き起こす複視
- プーリー:滑車のことで、力の方向が変わるところに存在する
- 眼窩プーリー:眼窩壁から懸垂する格好で、眼球赤道後部をリング状に取り囲むテノン嚢内に存在する眼窩結合組織
- 眼窩プーリーの役割:外眼筋の機能的起始部として機能し、走行を安定化させ、脱臼防止
- LR-SR Band:加齢の影響を受けやすい。コラーゲンが豊富なため。
- Sagging eye syndrome:加齢性の眼窩結合織の変性により発症する斜視。両眼の外直筋プーリーの下垂が同程度なら遠見内斜視、非対称であれば上下回旋斜視
- Saggin like face:上眼瞼陥凹、眼瞼のたるみ、腱膜性眼瞼下垂も診断に重要
- また、眼周囲手術レキ、顔面外傷歴にも注意する
- Sagging eye syndromeの治療は手術、プリズム眼鏡などを行う。ただし、内斜視に関して、内直筋後転が通常の内斜視手術より効果が少ない。上下斜視にはGVRTが有効である。
- その他に眼窩プーリーを伴う疾患は固定内斜視
- 固定内斜視:眼窩容積と眼球の不一致により、LR-SR Bandが眼球の拡張に負け、眼球後半部が上直筋と外直筋の間に脱臼し、上転・外転障害、眼球内下転位、主に強度近視眼となる。治療は上外直筋結合術を行う。