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光線力学療法(PDT) | オンライン眼科
眼科で行う治療

光線力学療法(PDT)

光線力学療法(PDT)についての記事

光線力学療法(PDT)とは

光線力学療法(PDT)は、光感受性物質であるベルテポルフィンと非発熱性近赤外線レーザーの光化学反応を利用した治療方法である。

抗VEGF薬の台頭により使用頻度が激減したが、PCVに対するPDTとラニビズマブの併用療法の有効性が報告されたため、再びPDTに注目が集まっている。

ベルテポルフィンは血中のLDL(低比重リポ蛋白)に結合し、CNVの血管内皮細胞に多数発現しているLDLレセプターを介して細胞内に取り込まれる。そこにレーザー光が照射されると取り込まれたベルテポルフィンが光化学反応をおコア子、活性酸素(一重項酸素)を発生する。その活性酸素は血管内細胞を傷害し、そこに血小板が粘着・凝集し、血栓が形成され、CNVが閉塞する。

光線力学療法(PDT)の標準的方法

  1. ベルテポルフィン(6mg/m²体表面積)の静脈内投与を10分間かけて行う。
  2. 薬剤投与開始15分後から病変最大直径(GLD)に1000μmを加えた照射野にレーザー光(波長689±3nm、光照射エネルギー量50J/cm²(照射出力600mW/cm²で83秒間))を照射する。ただし、乳頭近傍の病変では視神経の障害を防ぐため200μm以上マージンを取って照射を行う。
    ※GLDはFAによって測定し、CNVのほかにPED、出血、蛍光ブロック、光凝固瘢痕を含む。

※基本的に片眼ずつ行うが、経済的理由等で両眼同時に行う場合は、正常組織への影響を考慮して、投与開始後から20分以内で行うことが推奨されている。

これは標準的なPDTだが、他にもIA-guided PDT、減弱PDTや半量PDT、polyp-selective PDT、ironing PDTなどがある。

光線力学療法(PDT)の成績

光線力学療法(PDT)の成績

  • TAP試験(欧米):滲出型AMDに対する試験で、PDTは視力低下の抑制。
  • JAT試験(日本):滲出型AMDに対する試験で、PDTは視力の維持あるいは改善効果あり。

この差は日本のAMDがPCVの割合が高く、PDTによるポリープ状病巣の閉塞率が確かなものであったためと考えられる。

また、PCV以外にも抗VEGF薬による滲出抑制効果が弱かったり、脈絡膜血管透過性亢進を認めたり、脈絡膜厚が厚い症例において、抗VEGF薬とPDT併用療法が再燃回数を減らすのに効果的である。

しかし、PDT単独療法は、脈絡膜毛細管版および網膜色素上皮細胞数の萎縮や網膜下出血などの副反応を生じるため推奨されていない。

1.ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)

EVERESTⅡ試験において、PCV患者に対してラニビズマブとPDT併用群が、ラニビズマブ単独群よりも視力は改善し、ポリープ完全退縮率も高かった。

2.Pachychoroid neovasculopathy

抗VEGF薬に抵抗する、脈絡膜肥厚がある1型CNVに対してPDTは有用であるとされている。

光線力学療法(PDT)のメリット・デメリット

光線力学療法(PDT)のメリット

  1. 眼内炎や脳梗塞などの有害事象がない。
  2. 脳梗塞、心筋梗塞などの脳心血管合併症を有する患者にも使える。
  3. 血管閉塞効果が長く、長期間持続するため治療回数が少なくて済み、その分受診回数も少なくなる。

光線力学療法(PDT)のデメリット

  1. 治療後2日間は太陽光、ハロゲンランプなど強い光への曝露を避ける。
  2. 脈絡膜毛細血管やさらに深層の脈絡膜血管が一時的に閉塞するなど脈絡膜循環障害が生じる。
  3. 複数回治療するとRPEが萎縮する。
  4. 単独治療後に多量の網膜下出血などの合併症によって15%程度の患者において視力低下が生じる。
  5. 適応に限界がある(視力0.1~0.5、病変サイズ5400μm未満が標準的適応)。

参考文献

  1. あたらしい眼科Vol.37,No.2,2020
  2. あたらしい眼科Vol.38,No.10,2021

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