論文紹介

ワクチンの副反応は眼にも存在するの?

はじめに

COVID-19のワクチン接種の2回目を終えた方も多いと思います。Our World in Dataによる情報によれば、2022年1月2日時点で、日本は79.0%の接種率であり、アメリカや中国などの先進国と比べて高い接種率となっています[1]。オミクロン株の今後の感染拡大が懸念されますが、ブースター接種がいよいよ日本でも開始され、私も12月に接種いたしました。

ワクチンの副反応は眼にも存在するの?

さて、今回紹介する論文は、そんなCOVID-19のワクチンの副反応に関する論文です。2021年9月2日のJAMA Ophthalmolで、Francesco Pichiらは、『アブダビの患者における不活化COVID-19ワクチン接種と眼科有害事象の関連性[2]』について報告しています。報告はあくまでアブダビ患者であり、使用しているワクチンは中国のシノファーム社製のものです。日本人も同様か、またファイザー、モデルナで同様とは限りませんが、参考になります。

論文の内容

対象は2020年9月から2021年1月まで、Cleveland Clinic Abu Dhabiで実施されたものです。不活化COVID-19ワクチン2回接種のうち1回目から15日以内に眼球の有害事象を報告した患者を分析しています。

主要評価項目と測定方法は矯正視力と眼圧、細隙灯顕微鏡検査、そしてカラー眼底写真、OCT、OCTAなどで評価を行った。なお、性別、人種、年齢、臨床データは自己申告とのことでした。

COVID-19ワクチン接種後に眼の主訴を呈した症例は、7名(男性3名)9眼でした。平均年齢は41.4歳(30~55歳)、平均最高矯正視力は0.23 logMAR(0~1 logMAR)であった。眼の発現期間は、平均5.2日(1~10日)でした。そして、その患者らは上強膜炎1名、前部強膜炎2名、急性黄斑神経網膜症2名、傍中心窩急性中間層黄斑症1名、網膜下出血1名と診断されています。

さいごに

今回の報告から、COVID-19ワクチンによる眼への副反応が起こりうる可能性が示されました。炎症や血管閉塞が原因となる疾患が多く、COVID-19ワクチンがその誘因になった恐れもあります。しかし、症例は限定的であり、偶発的に生じた可能性も十分にあります。また、冒頭でも述べたように、これらの結果が日本人、そして他のワクチンで当てはまるかは不明です。ワクチン接種がさらに進むことで、今後さらなるデータの蓄積が待たれます。

参考文献

  1. Our World in Date HP

アイキャッチ画像元(Unsplash

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