禁忌
- 症状が増悪するおそれがあるため、気管支喘息、気管支痙攣又はそれらの既往歴のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者
- 症状が増悪するおそれがあるため、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ・Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者
タプコム®点眼液とは
タプコム®点眼液(一般名:タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液、以下略)は2014年より販売開始となり、緑内障、高眼圧症に対して用いられている。1日1回点眼で良いため、コンプライアンス低下を防止のため使用している眼科医も少なくない。
タプコム®点眼液の効果効能
緑内障、高眼圧症
タプコム®点眼液の用法用量
1回1滴、1日1回点眼する。
※頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しない。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等への投与
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 低血糖症状があらわれた場合には、経口摂取可能な状態では角砂糖、あめ等の糖分の摂取、意識障害、痙攣を伴う場合には、ブドウ糖の静注等を行い、十分に経過観察すること。食事摂取不良等体調不良の状態の患児にカルテオロール塩酸塩点眼液1%・2%を投与した症例で低血糖が報告されている。
タプコム®点眼液の作用機序
本剤の配合成分であるタフルプロストの活性代謝物(タフルプロストカルボン酸体)は、プロスタノイドFP受容体作動薬である。一方の配合成分であるチモロールマレイン酸塩は、非選択的β-受容体遮断剤である。両剤は異なる作用機序により眼圧下降作用を示す。
プロスタノイドFP受容体作動作用
タフルプロストの活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体は、プロスタノイドFP受容体に対して高い親和性(Ki=0.40nM)を示した。サルを用いて、0.005%タフルプロスト点眼液注)を1日1回3~5日間反復点眼したときの房水動態をフルオロフォトメトリー法、Two-level constant pressure perfusion法及び125I-131I標識アルブミン灌流法により検討したところ、房水産生量に変化は認められず、ぶどう膜強膜流出量を有意に増大させた。
β-受容体遮断作用
チモロールマレイン酸塩の眼圧下降の作用機序の詳細は明らかではないが、サル、健康成人でのフルオロフォトメトリー試験及び緑内障患者でのトノグラフィー試験において、主に房水産生の抑制によることが示唆されている。
ミケラン®点眼液の臨床成績
1.国内第Ⅲ相試験(タフルプロスト、及びタフルプロスト/チモロール併用 対照比較試験)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者489例(有効性解析対象487例)を対象とした無作為化盲検比較試験において、導入期に0.0015%タフルプロスト点眼液を4週間1日1回点眼後、治療期(二重盲検期)に本剤(1日1回)又は各対照薬(0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回[以下、タフルプロスト群]あるいは0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回/0.5%チモロール点眼液1日2回の併用[以下、併用群])を4週間点眼した結果、本剤のタフルプロスト群に対する優越性(p<0.001)が示された(ベースラインを共変量とした共分散分析)。副作用は、本剤群161例中17例(10.6%)に認められ、主な副作用は点状角膜炎3.7%(6/161例)であった。
2.国内第Ⅲ相試験(チモロール対照比較試験)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者166例(有効性解析対象166例)を対象とした無作為化盲検比較試験において、導入期に0.5%チモロール点眼液を4週間1日2回点眼後、治療期(二重盲検期)に本剤(1日1回)又は0.5%チモロール点眼液(1日2回)を4週間点眼した結果、本剤のチモロール群に対する優越性(p<0.001)が示された(ベースラインを共変量とした共分散分析)。副作用は、本剤群82例中16例(19.5%)に認められ、主な副作
用は眼充血7.3%(6/82例)及び結膜充血6.1%(5/82例)であった。
副作用発現頻度は、本剤で78例中15例(19.2%)、対照薬で78例中2例(2.6%)、参照薬で37例中6例(16.2%)であった。主な副作用は、本剤では眼痛3例(3.8%)、結膜充血、眼刺激、眼充血、眼の異常感、眼瞼炎、眼の異物感及び眼そう痒が各2例(2.6%)、対照薬で味覚異常及び結膜充血が各1例(1.3%)、参照薬で結膜充血2例(5.4%)、眼刺激、眼充血、角膜障害、眼瞼紅斑及び多毛症が各1例(2.7%)であった。
タプコム®点眼液の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
1.喘息発作(頻度不明)
β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、喘息発作を誘発することがあるので、咳・呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.虹彩色素沈着(頻度不明)
患者を定期的に診察し、虹彩色素沈着があらわれた場合には臨床状態に応じて投与を中止すること。
3.房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症(いずれも頻度不明)
β-受容体遮断による刺激伝導系抑制作用・心拍出量抑制作用により、房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症
があらわれることがある。
4.眼類天疱瘡(頻度不明)
結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等があらわれることがある。
5.脳虚血、脳血管障害(いずれも頻度不明)
6.全身性エリテマトーデス(頻度不明)
参考文献
タプコム®添付文書