トラバタンズ®点眼液とは
トラバタンズ®点眼液(一般名:トラボプロスト点眼液、以下略)は2007年より販売開始となり、緑内障、高眼圧症に対して用いられている。
トラバタンズ®点眼液の効果効能
緑内障、高眼圧症
トラバタンズ®点眼液の用法用量
1回1滴、1日1回点眼する。
※頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等への投与
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
トラバタンズ®点眼液の作用機序
トラボプロストは、FP受容体に対して選択的に作用するフルアゴニストであり、房水の流出経路のうち、ぶどう膜強膜流出経路からの房水の流出を促進することにより眼圧下降効果がもたらされると考えられている。
トラバタンズ®点眼液の臨床成績
1.国内第Ⅱ相試験
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象としたトラボプロスト点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)の二重盲検による第Ⅱ相用量反応試験(投与期間:14日間)において、眼圧下降値は、プラセボ群2.1mmHg(22例)、0.0001%群3.3mmHg(21例)、0.0015%群6.7mmHg(22例)、0.004%群7.4mmHg(21例)であり、有意な用量反応性が認められた。
副作用発現頻度は、トラボプロスト0.004%群で19.0%(4/21例)であった。主な副作用は、眼のそう痒感14.3%(3/21例)、眼脂、角膜炎、眼の充血、眼痛及びけん怠感が各4.8%(1/21例)であった。
2. 国内第Ⅲ相長期投与試験
正常眼圧緑内障を含む原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象としたトラボプロスト0.004%点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)の第Ⅲ相長期投与試験(投与期間:6ヵ月)において、トラボプロスト0.004%群(70例)の眼圧下降値は4.8~5.5mmHgであり、6ヵ月間を通して安定した眼圧下降効果が認められた。
副作用発現頻度は、トラボプロスト0.004%群で51.4%(36/70例)であった。主な副作用は、眼の充血31.4%(22/70例)、皮膚変色(眼瞼色調変化)12.9%(9/70例)毛髪障害(眼周囲の多毛化)7.1%(5/70例)及び虹彩色調変化4.3%(3/70例)であった。
3.海外第Ⅲ相試験(長期投与試験)
米国在住日本人原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象としたトラボプロスト0.004%点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)の第Ⅲ相長期投与試験(投与期間:12ヵ月)において、トラボプロスト0.004%群(35例)の眼圧下降値は6.3~7.7mmHgであり、12ヵ月間を通して安定した眼圧下降効果が認められた。
副作用発現頻度は、トラボプロスト0.004%群で30.6%(11/36例)であった。主な副作用は、眼の充血13.9%(5/36例)、眼のそう痒感及び眼の不快感が各8.3%(3/36例)であった。
4.海外第Ⅲ相試験(実薬対照試験)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした、トラボプロスト0.004%点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)のラタノプロスト0.005%点眼液及びチモロールマレイン酸塩0.5%点眼液との第Ⅲ相二重盲検比較試験(投与期間:12ヵ月)において、トラボプロスト0.004%点眼液群(187例)の眼圧下降値は6.6~8.0mmHgであった。眼圧値における比較においてチモロールマレイン酸塩0.5%点眼液群(187例)に対する優越性、並びにラタノプロスト0.005%点眼液群(188例)に対する非劣性が示された。
副作用発現頻度は、トラボプロスト0.004%点眼液群で56.0%(112/200例)であった。主な副作用は、眼の充血46.0%(92/200例)、眼の不快感7.0%(14/200例)眼のそう痒感5.0%(10/200例)眼痛4.5%(9/200例)、眼の異物感3.5%(7/200例)であった。
5.海外第Ⅲ相試験(併用療法試験)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした、トラボプロスト0.004%点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)のチモロールマレイン酸塩0.5%点眼液との併用療法によるプラセボとの第Ⅲ相二重盲検比較試験(投与期間:6ヵ月)において、トラボプロスト0.004%点眼液とチモロールマレイン酸塩併用療法群(137例)はチモロールマレイン酸塩単独療法群(134例)に比べ有意な併用効果を示した。
副作用発現頻度は、トラボプロスト0.004%点眼液とチモロールマレイン酸塩併用療法群で40.7%(59/145例)であった。主な副作用は、眼の充血33.8%(49/145例)細胞(前房細胞の析出)4.1%(6/145例)、眼の乾燥、眼痛及び眼の不快感が各3.4%(5/145例)、羞明2.8%(4/145例)であった。
6.海外第Ⅲ相試験(生物学的同等性試験)
生物学的同等性の検証を目的に原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした、トラボプロスト0.004%点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)との第Ⅲ相二重盲検比較試験(投与期間:3ヵ月)において、本剤(ベンザルコニウム塩化物非含有製剤)(322例)の眼圧下降値は7.4~8.5mmHgであった。眼圧値の比較においてトラボプロスト点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤:339例)に対する同等性が示された。
副作用発現頻度は、本剤群で22.1%(76/344例)であった。主な副作用は、眼の充血6.1%(21/344例)、眼のそう痒感5.2%(18/344例)、眼の不快感3.8%(13/344例)、眼の異物感2.6%(9/344例)であった。
トラバタンズ®点眼液の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
主な副作用
- 虹彩色素沈着(頻度不明)
- 結膜充血(5%以上)
- 眼の瘙痒感(5%以上)
参考文献
トラバタンズ®添付文書