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アレルギー性結膜炎のある子に対するオルソケラトロジーの効果

はじめに

オルソケラトロジー(OK)レンズは、子供の近視進行抑制の治療です。しかし、これらのレンズの効果は、アレルギー性結膜炎(AC)の存在など、さまざまな要因によって影響を受ける可能性があると報告されました。

Long-term effect of orthokeratology on controlling myopia progression in children with allergic conjunctivitis

本記事では、アレルギー性結膜炎を持つ子供と持たない子供におけるOKレンズの近視進行抑制効果が3年間でどのように異なるかを調べているため解説します。

本研究の概要

本研究では、2019年にオルソケラトロジーレンズを装用した8〜15歳の患者を対象としたレトロスペクティブケースコントロール研究が行われました。患者は、初期装用時の医療歴と身体的徴候に基づいて、アレルギー性結膜炎を持つグループと持たないグループに分けられました。年齢、性別、球面等価(SE)、初期の眼軸長(AL)などの基礎データが収集され、比較されました。さらに、OKレンズ装用後3年間のALの伸びも記録されました。

研究結果

研究には合計309人の患者が含まれ、47人がアレルギー性結膜炎グループ、262人が非アレルギー性結膜炎グループでした。年齢、性別、球面等価(SE)、初期の眼軸長(AL)において、両グループ間に統計的に有意な差はありませんでした。OKレンズ装用後3年間のALの伸びは、アレルギー性結膜炎グループで0.96 ± 0.45 mm、非アレルギー性結膜炎グループで0.69 ± 0.45 mmでした(P < 0.001)。角膜の有害事象(AEs)によるOKレンズ装用中止期間も、アレルギー性結膜炎グループの方が非アレルギー性結膜炎グループより長かったようです(P < 0.05)。

結論と臨床への応用

この研究は、アレルギー性結膜炎が3年間の治療後のOKレンズによる近視コントロールの効果に大きく影響することを明らかにしました。アレルギー性結膜炎を持つ子どもは、そうでない子どもよりも眼軸長の伸びが大きく、角膜の有害事象によるレンズ装用中止も多かったです。

これらの結果は、近視抑制治療のためのオルソケラトロジーの利点を最大化するために、アレルギー性結膜炎の症状を管理する重要性を強調しています。

特に、アレルギー性結膜炎を有する子どもは他の選択肢を考慮しても良いだろう。また、オルソケラトロジーを使っている際にアレルギー性結膜炎を発症すれば、同様に近視抑制効果は限定的になる恐れがあります。

よって、より一層アレルギー性結膜炎にならないよう、オルソケラトロジーの洗浄など管理は効果を出すためにも重要です。さらに、近視進行抑制効果が限定的な子どもに対しては、アレルギー性結膜炎の有無や増悪をよく確認するのも我々眼科医にとって重要でしょう。

参考文献

Long-term effect of orthokeratology on controlling myopia progression in children with allergic conjunctivitis


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