はじめに
遠視、近視、乱視などの屈折異常によって視力が下がることがあります。これらの屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズ、レーシック手術などで矯正できますが、ホームレスの方々はこれらの治療にアクセスするのが難しいことが多いです。視力矯正が不十分な場合、生活の質が低下し、さらに社会的および経済的な困難を増すことがあります。
本研究の目的
このSMART(Screening and Management of REfractive Error)スタディは、ホームレスの方々に対して効率的に視力矯正を提供することを目指したものです。
ホームレスの方々に対する視力矯正の提供は、彼らの生活の質を大幅に向上させる可能性があります。本研究は、視力検査と眼鏡の提供を通じて、彼らの生活を支援する実用的なモデルを示しています。本研究は、内科医とそのスタッフが、眼科医の設計したプロトコルに基づいて視力検査と治療を行うという新しいアプローチが採用されています。
本研究の結果
本研究は、117名の患者に対して実施された結果、視力の改善が平均5ラインも見られました。これは、眼鏡の提供が視力矯正に非常に効果的であることを示しています。
また、Likert調査によると、患者は視力検査(4.7)、視力矯正(4.6)、視界の改善(4.8)、および眼鏡を使った活動(4.7)に非常に満足していることが分かりました。さらに、約20%の患者がさらなる眼科的評価を受けるために紹介されており、屈折異常以外の潜在的な眼疾患の早期発見にも寄与しています。
日本での応用
ホームレスの視力向上により、彼らの生活の質を上げるだけでなく、社会復帰などにも寄与する可能性があります。また、今回の報告では、眼科医ではない内科医による介入であった。ホームレスだけでなく、僻地では眼科やメガネ屋へ行くことが困難な患者がいます。
そこで、日本でも訪問診療などで内科医が介入することで、そういった患者さんの生活の質を上げることに寄与することができると考えます。