もくじ
脈絡膜の構造
脈絡膜は、血管とメラニンに富む組織であり、外側(強膜側)から内側(網膜側)に向かって、①上脈絡膜、②血管層(Haller層・Sattler層)、③脈絡毛細血管板(choriocapillaris:CC)の3層構造で成り立っている。
1.上脈絡膜
上脈絡膜は、脈絡膜の最も外側に位置し、脈絡膜板と上脈絡膜腔から構成される。主に疎性結合組織からなり、コラーゲン線維や弾性線維が豊富である。細胞成分としては線維芽細胞やメラノサイトが主体で、血管はほとんど含まれない。
通常は目立たない構造であるが、炎症や滲出が生じた場合には、この層の剥離や肥厚としてOCTで描出されることがある。
2.血管層(Haller層・Sattler層)
上脈絡膜の内側には血管層があり、外側の大血管層(Haller層)と内側の中血管層(Sattler層)に分けられる。Haller層には太い動脈や静脈が走行し、Sattler層にはそれよりやや細い血管が分布している。
これらの血管層は、脈絡膜血流の分配や調節に関与するとともに、血液を一時的に貯留する役割も担うと考えられている。特にHaller層の太い静脈は渦静脈へと連続しており、広い範囲の静脈還流に影響を与える重要な構造である。
3.脈絡毛細血管板(CC)
脈絡毛細血管板(CC)は、RPEの直下でBruch膜に接して存在する毛細血管の層である。血管には小さな孔(有窓構造)があり、外網膜(視細胞―RPE複合体)との物質交換を担っている。
この構造により、視細胞外節に必要な酸素や栄養が効率よく供給される。一方で、加齢や疾患によりCCの密度低下や血管閉塞、基底膜の変化が生じると、外網膜の機能低下につながる。
4.脈絡膜血管
脈絡膜の血流は、主に後毛様体動脈によって供給される。眼動脈は外側・内側の後毛様体動脈に分かれ、さらに長後毛様体動脈と複数の短後毛様体動脈に分枝する。このうち、脈絡膜循環の主体となるのは短後毛様体動脈である。
短後毛様体動脈は、視神経周囲や黄斑周辺から強膜を貫いて脈絡膜内に入り、Sattler層、Haller層を走行したのち、最終的にCCを形成する。
一方、静脈血は後毛細血管静脈から集まり、Haller層の太い静脈へ流入し、渦静脈として強膜を貫いて眼外へ排出される。渦静脈は通常4〜6本存在し、後極から周辺部まで広範囲の静脈還流を担っている。
参考文献
- The multifunctional choroid
- Blood circulation and fluid dynamics in the eye
- The suprachoroidal space: from potential space to a space with potential
- Understanding age-related macular degeneration (AMD): relationships between the photoreceptor/retinal pigment epithelium/Bruch’s membrane/choriocapillaris complex
