脈絡膜とその疾患

Pachydrusen

Pachydrusenとは

Pachydrusenは、パキコロイド関連疾患に伴ってみられるドルーゼン様病変であり、従来の加齢黄斑変性(AMD)でみられるsoft drusenとは異なる特徴を有する。比較的新しい概念であり、近年、パキコロイド病態を理解するうえで重要な所見として注目されている。

一般にpachydrusenは、比較的大きく、境界明瞭な黄白色病変として観察される。分布は黄斑部に限局せず、後極部に散在することが多く、しばしばpachyvesselの直上に認められる。こうした特徴から、pachydrusenは単なる加齢性変化ではなく、脈絡膜肥厚や脈絡膜循環異常を背景に形成される病変と考えられている。

CSCとの関連

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)においても、pachydrusenの存在は重要である。Matsumotoらの報告では、CSC眼の約3割にpachydrusenが認められ、とくに高齢例に多い傾向が示された。これは、pachydrusenがCSCにおける慢性的な脈絡膜循環障害やRPE障害を反映している可能性を示唆している。

すなわち、CSCにpachydrusenを伴う場合には、一過性の漿液性網膜剥離だけではなく、より持続的なパキコロイド病態の関与を考える必要がある。

従来のドルーゼンとの違い

Zhangらは、pachydrusenとsoft drusen、pseudodrusenは、それぞれ形態や分布だけでなく、背景となる病態も異なると整理している。soft drusenが主として加齢に伴うRPE-Bruch膜複合体の変化を反映するのに対し、pachydrusenは脈絡膜肥厚やpachyvesselを背景としたパキコロイド病態を反映する所見である。

このため、眼底にドルーゼン様病変を認めた場合でも、それを一律にAMDと捉えるのではなく、脈絡膜の厚さやpachyvesselの有無をあわせて評価することが重要である。

臨床的意義

Pachydrusenは、CSC、PCV、pachychoroid neovasculopathy(PNV)など、パキコロイドスペクトラムに含まれる疾患との関連が深い。そのため、pachydrusenの存在は、病態の背景に脈絡膜循環異常があることを示唆する手がかりとなる。

眼底所見のみで判断せず、OCTを用いて脈絡膜肥厚やpachyvesselの有無を確認することで、AMDとの鑑別や、より正確な病態把握につながる。

まとめ

Pachydrusenは、パキコロイド関連疾患に特徴的なドルーゼン様病変であり、従来のsoft drusenとは異なる病態を反映する。とくにCSCでは比較的高頻度に認められ、慢性的な脈絡膜循環異常やRPE障害を示唆する所見として重要である。ドルーゼン様病変をみた際には、網膜所見だけでなく脈絡膜所見も含めて評価する視点が求められる。

参考文献

  1. Clinical characteristics of pachydrusen in central serous chorioretinopathy
  2. Drusen and pachydrusen: the definition, pathogenesis, and clinical significance
  3. Pachydrusen
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