角膜とその疾患

顆粒状角膜ジストロフィ

ドクターK
ドクターK
顆粒状角膜ジストロフィってどんな病気なの?

と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。

顆粒状角膜ジストロフィとは

角膜上皮および実質の角膜ジストロフィの一で、遺伝形式は常染色体優性遺伝である。遺伝子座は5q31、遺伝子はTGFB1遺伝子が関与する。

幼少期に発症し、症状は羞明、年齢とともに進行する視力低下・グレアの低下などを認める。顆粒状角膜ジストロフィはⅠ型とⅡ型に大別される。日本ではⅡ型ほとんどで、Ⅰ型は少ない。同じ変異がホモ接合体で生じると非常に重症となる。

顆粒状角膜ジストロフィの分類

顆粒状角膜ジストロフィⅠ型について

5q31のアルギニンがトリプトファンに変異したもので、ホモ接合体で生じた顆粒状角膜ジストロフィⅠ型は特に重症となる。顆粒状角膜ジストロフィⅠ型では薄い顆粒状の混濁が上皮下から始まり、年齢とともに顆粒数増加に伴い、境界が不明瞭となる。

Eye Rounds HPより引用

顆粒状角膜ジストロフィⅡ型(アベリノ角膜ジストロフィ)について

5q31のアルギニンがヒスチジンに変異したもので、顆粒状角膜ジストロフィⅠ型と同様、ホモ接合体で生じたアベリノ角膜ジストロフィも特に重症となる。日本人でよく見られ、境界明瞭な顆粒状の混濁と線状の混濁を上皮下から認める。Ⅰ型のものより大きい白色あるいは灰白色の円形で、辺縁鮮明な顆粒状の混濁で発症する。加齢とともにびまん性となる。

Eye Rounds HPより引用

顆粒状角膜ジストロフィの診断

診断確定には遺伝子検査が必要である。なお、顆粒状角膜ジストロフィⅠ型はMasson-Trichrome染色ヒアリン赤く染まり、アベリノ角膜ジストロフィコンゴレッド染色あるいは偏光顕微鏡でアミロイド沈着を認める。

(上)Ⅰ型のMasson-Trichrome染色(下)Ⅱ型のコンゴレッド染色

Eye Rounds HPより引用

顆粒状角膜ジストロフィの治療

上皮下のびまん性混濁に対して表層角膜切除術(PTK)、角膜厚が薄い場合は表層角膜移植を行うこともある。ただし、表層角膜移植をした場合、数年以内にホスト-グラフト間で混濁しやすい。その他電気分解などを行うことがある。

1.顆粒状角膜ジストロフィⅠ型

ホモ接合体では進行が速く、ほとんどの例で5歳ごろに著明化し、10歳前後で治療が必要となる。

顆粒状角膜ジストロフィⅠ型のヘテロ接合体での再発例は少ないが、ホモ接合体では1-2年後に再発することがあり、混濁が強くなれば再治療を行う。PTKで治療するが、再発を繰り返す場合は表層角膜移植、深層角膜移植を選択する。

2.顆粒状角膜ジストロフィⅡ型

顆粒状混濁は隙間なく存在するため、幼少時より視力低下している。10歳前後で治療が必要となる。再発するまでの時期はⅠ型よりも遅いが、再発すればⅠ型と同様の対応を行う。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版
  2. 眼科学第2版

関連記事

角膜ジストロフィこの記事では角膜ジストロフィの記事をまとめています。...

オンライン眼科のサポート