再発性角膜びらんとは
角膜上皮びらんを反復して生じる状態を再発性角膜びらんという。生じた角膜びらんは数日以内に治癒するが、期間(1~2週間の場合もあれば、数カ月の場合もある。)をおいて再発する。
紙、爪などによる外傷が原因となり、角膜を接線方向に擦過する外傷が基底膜の異常を生じ、角膜上皮層が剥離するため起こる。ただし、感染性や炎症性疾患を除外する必要がある。上皮基底膜ジストロフィに続発している例もある。具体的には、角膜上皮基底膜ジストロフィ、Reis Buckler角膜ジストロフィなどが挙げられる。
再発性角膜びらんの症状
起床時の突然の眼痛が特徴的で、それに伴う流涙も強い。
再発性角膜びらんの他覚所見
毛様充血と線状または類円形の角膜上皮びらんが主な所見となる。角膜中央部からやや下方に多い。上皮びらんが修復されると、基底膜異常が存在する角膜上皮には、微小嚢胞形成、上皮浮腫、水疱、糸状変化などがみられる。これをmad-dot patternという。
再発性角膜びらんの治療
通常の角膜上皮びらんと治療法は変わらない。具体的には、上皮欠損修復促進のため角膜保護薬と、就寝前にタリビッド眼軟膏を点入する。さらに、症状に応じて眼帯や治療用コンタクトレンズを用いることがある。これら保存的治療が奏効しない場合には外科的治療を考慮する。
外科的治療①デブリードマン
接着不良な上皮を除去する。生理食塩水を浸した綿棒あるいはMQAで異常な上皮を擦過して除去する。
外科的治療②角膜表層穿刺
角膜表層を25Gあるいは27Gを用いて、デブリードマンを行った上皮欠損部の実質浅層に穿刺する。作用機序は不明な部分も多いようだが、Bowman膜から実質に至る穿刺創を作ることでanchoring fibrilなどの生成が促され、上皮との接着機構が再構築されると考えられている。
外科的治療③PTK
難治性角膜びらんに対する切り札的な治療だが、十分な角膜厚が必要で、遠視化するリスクがある。また、PTKの実施可能な施設も限られている。
再発性角膜びらんの予後
基本的には自然治癒傾向とされる。再発のリスクは1年以上経ってからもあり得るため、その旨を説明する必要がある。