全身疾患と目

全身性エリテマトーデス(SLE)

全身性エリテマトーデス(SLE)とは

SLEは10(20)~30歳代の女性に多い自己免疫疾患で、皮膚や関節、腎、中枢神経系、眼など多臓器に慢性炎症を及ぼすとされる。

SLEの眼症状

眼症状は20~30%に合併する。最も多い眼症状は乾性角結膜炎であり約30%にみられる。また、網膜循環障害による網膜病変も多く(10~30%)、免疫複合体による微小血管症によるものや血管炎によるものと考えられている。通常両眼性で、SLEの活動性が高い時期に多くみられる。一般的には網膜出血、綿花様白斑、Roth斑が多い。

その他に起こりうる眼症状

  • 前眼部:結膜下出血、結膜炎、結膜リンパ浮腫、角膜上皮障害、強膜炎、虹彩毛様体炎
  • 網膜:網膜細動脈狭細化、網膜静脈拡張・蛇行、網膜動静脈閉塞、網膜無血管領域(→新生血管が発生し硝子体出血、血管新生緑内障へと進行することもある)、漿液性網膜剥離、網膜色素上皮剥離、
  • 脈絡膜:脈絡膜剥離
  • 視神経:視神経炎

SLEの治療

全身症状に対してはステロイド全身投与かシクロスポリン等の免疫抑制薬を用いる。眼症状はSLEに特異的なものはないので、症状に合わせた治療を選択する。活動性の網膜血管炎に対してもステロイド全身投与が行われ、ステロイド抵抗性があれば免疫抑制薬も使用される。

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 今日の眼疾患治療指針 第3版

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