もくじ
緊張性瞳孔とは
瞳孔反応が緩徐で、緊張性の反応を示す疾患である。毛様体神経節より末梢の副交感神経の諸具合で、脱神経性過敏を示す。20~40歳代の女性に多く、10~20%で両眼性に発症する。経過中1年以内に約4%は僚眼にも生じる。
緊張性瞳孔の症状
調節麻痺も伴い羞明感、調節麻痺による霧視・眼精疲労・近見作業障害を訴えることがある。
瞳孔は中等度に散大し、対光反射は減弱or消失するが、近見視による縮瞳は緊張性にゆっくり生じる(対光近見反応解離)。特に、近見反応での散瞳時に、最も緊張性の瞳孔反応を観察しやすい。
患眼の瞳孔は明所で健眼より大きく散大し、暗所ではほぼ左右同大、あるいは患眼がやや小さくなる。
瞳孔括約筋の分節麻痺がほとんどで、瞳孔は不整円を呈する。細隙灯顕微鏡にて、麻痺部の瞳孔縁のひだは消失し、分節状に残存した健常部の瞳孔収縮のため虫が這うように虹彩が波立つ虫様運動が見られる。
緊張性瞳孔の合併症
下記の合併症がある
1.Adie症候群:瞳孔緊張症+腱反射異常
2.Ross症候群:Adie症候群に起立性低血圧、発汗異常などの自律神経症状を伴ったものである。多発性神経炎に合併するものもあり、この場合は両眼性となる。
3.その他にも、Fisher症候群や脳炎、帯状疱疹、神経梅毒、脊髄小脳変性症、糖尿病、膠原病などの合併が報告されている。
緊張性瞳孔の診断
緊張性瞳孔であれば通常なら反応しない低濃度(0.125%)ピロカルピン塩酸塩点眼やメコリール点眼で縮瞳することが確認できる(脱神経過敏反応)。5分間隔で両眼へ2回点眼し、45分後に評価を行う。脱神経過敏を獲得した緊張性瞳孔では低濃度でも反応し縮瞳を認める一方で、正常眼では瞳孔変化は生じない。
緊張性瞳孔の治療
経過観察のみでよいが、自覚症状の強いものには低濃度ピロカルピン使用、近用眼鏡の装用が有効である。羞明に対してはサングラス、虹彩付きコンタクトレンズなども有用である。また、近方視力障害の症状が強い際には近見への屈折矯正を行う。点眼治療として低濃度ピロカルピン点眼を1日3~4回点眼する。
緊張性瞳孔の予後
良性で、ほとんどは自然回復する。それに伴い、自覚症状も軽減してくる。全身疾患に合併する場合の予後は良好とはいえない。
