この記事は眼科臨床実践講座2019の眼感染症のウイルス感染ついて解説しています。
1.アデノウイルス結膜炎
アデノウイルス結膜炎は肺炎球菌と所見が似ている。特に保育園ではどちらも流行する可能性があるため鑑別に注意が必要である。
アデノウイルス結膜炎は日本で毎年約100万人が罹患する。基本的に同じ血清型のアデノウイルスには再感染しないが、ウィルスが少しでも変化すると感染可能となり大流行のきっかけとなる。
2018年の統計によれば咽頭結膜熱は夏に多いがアデノウイルス結膜炎は1年中多い。
アデノウイルス結膜炎の臨床所見
- 強い結膜充血
- 眼脂
- 耳前リンパ節腫脹
- 角膜上皮下混濁(MSI)
- 点状表層角膜炎
などがある。
アデノウイルス結膜炎の上皮下混濁は発症中期から見られることが多く、発症率は10〜20%、1週間後くらいで出現し、視力低下を引き起こすことがある。血清型は53と54型で多いとされている。
アデノウィルス結膜炎を流行させないためには的確な診断を行い、先生や学校との情報交換をし、早めの予防策を考えることが重要である。
2.角膜ヘルペス
上皮型角膜ヘルペスは上皮型病変や地図状病変を特徴とし、terminal bulbの所見を認める。
薬剤毒性かあるいはヘルペスの鑑別としては、薬剤毒性では病巣以外にも上皮障害が存在し先がギザギザである。
上皮型角膜ヘルペスの診断として角膜知覚検査、PCRなど遺伝子検査、HSV-1抗原検出キットなどがある。
治療はウィルス増殖阻害が基本で、具体的にはアシクロビル眼軟膏1日5回を用いる。ただし、アシクロビル耐性株も存在するため、トリフロチミジンを用いることもあるが、日本では未承認である。
角膜実質に及ぶと円板状の病変を示す。治療としては抗ウイルス療法としてアシクロビル眼軟膏やバラシクロビル内服、免疫抑制としてステロイド薬点眼あるいはステロイド薬内服を行う。
3.サイトメガロウィルス角膜内皮炎
片眼性で、繰り返す虹彩炎や眼圧上昇、白色KPs、coin lesion、角膜内皮細胞減少などがあれば疑わしい。前房水をPCRにかけ、サイトメガロウィルス角膜内皮炎と診断できれば、ガンシクロビル点眼や全身投与を行う。
おわりに(個人的感想)
アデノウイルス結膜炎が意外と1年中多いということはあまり知られていません。ウイルス感染は疑わないと検査を行うことができませんので知識をしっかり付けて、診断および治療を行うことが肝要かと思います。