視神経・視路とその疾患

MOG抗体関連疾患(MOGAD)における視神経炎

MOG抗体関連疾患(MOGAD)における視神経炎の概要

MOG抗体関連疾患(MOGAD)は、髄鞘構成蛋白の一つであるMOGに対する自己抗体を有し、自己免疫的な機序が病態に関与している。欧米では成人中枢神経脱髄疾患の1.2~6.5%、小児ではその頻度は高く約40%と報告され、日本での推定患者数は1.34人/10万人とされている。発症年齢は小児と30歳前後の成人例の2峰性であり、男女比はほぼ同等であり、成人では若干女性が多いとされている。MOGAD患者の約80%に視神経炎がみられ、さらに両眼性視神経炎は約40%程度に見られる。

MOG抗体関連疾患(MOGAD)における視神経炎の症状および所見

  • 視神経乳頭腫脹:76%
  • 眼球運動時痛(眼痛)(特徴の1つ):77%
  • 視力低下

MOG抗体関連疾患(MOGAD)における視神経炎の画像検査

1.MRI

造影MRIでのSTIR画像、T1強調脂肪抑制画像が増強効果で確認できる。その際、視神経前方の障害が強く、MRI画像では強い腫脹とそれに伴う視神経の屈曲と蛇行が特徴的とされる。

2.OCT

  • 視神経乳頭周囲のRNFL(cpRNFL)厚の測定:急性期で視神経乳頭腫脹が軽度の場合
  • 黄斑部網膜内層(mGCIPL)の菲薄化:急性炎症時には見られず、過去の視神経炎の既往を示唆する。

MOG抗体関連疾患(MOGAD)における視神経炎の治療と反応性

ステロイドパルス療法に反応良好な症例が多く、視力予後は比較的良好とされる。効果が不十分の場合、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を行うと、急性期であれば早期治療介入により視機能予後を改善する。慢性期はエビデンスが確立している薬剤はないが、経口ステロイド薬、リツキシマブ、ミコフェノール酸モフェチル、IVIgなどの有効性が示唆されている。

参考文献

  1. 多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023
  2. Epidemiologic and Clinical Characteristics of Optic Neuritis in Japan
  3. Myelin-oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease
  4. Intravenous immunoglobulin treatment for steroid-resistant optic neuritis: a multicenter, double-blind, randomized, controlled phase III study

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