スマホを近くで見ると睡眠の質が下がる！？

論文の内容

おはようございます、doctorKです。早速ですが、皆さんは寝る前にスマートフォンを見ていませんか？

「YouTubeを見てから寝る」
「寝る前にメールのチェックをしてる」

こんな何気ない寝る前の習慣があなたの睡眠の質を低下させているかもしれません。これを示唆する論文を紹介します。今日紹介する論文は2017年に慶應大学眼科の吉村道孝らが発表した論文で、タイトルは

『Smartphone viewing distance and sleep: an experimental study utilizing motion capture technology（スマートフォンを見る距離と睡眠:モーションキャプチャーテクノロジーを利用した実験的な実験）』

対象は23名の看護学生で、スマートフォンを見る距離と睡眠の質を評価しています。スマートフォンを見る距離は頭からスマートフォンを持つ手までの距離と定義し、睡眠の質についてはピッツバーグ睡眠質問票（Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI）とESSを用いています。結果は下記のようになっています。

The viewing distance of smartphones in the sitting position ranged from 13.3 to 32.9 cm among participants. In the lying position, it ranged from 9.9 to 21.3cm. The viewing distance was longer in the sitting position than in the lying position (mean ± standard deviation: 20.3±4.7 vs 16.4±2.7, respectively, P<0.01). We found that the short viewing distance in the lying position had a positive correlation to a poorer sleep state (R²=0.27, P<0.05), lower sleep efficiency (R²=0.35, P<0.05), and longer sleep latency (R²=0.38, P<0.05). Moreover, smartphone viewing distances in lying position correlated negatively with subjective sleep status.

まとめますと、

スマートフォンを見る距離は座った状態で13.3〜32.9cm、寝転んだ状態だと9.9〜21.3cm
寝転んだ状態だとスマートフォンを見る距離が短い、睡眠の状態、睡眠効率、入眠までの時間がより悪くなった。
寝転んだ状態でスマートフォンを見る距離と主観的な睡眠の状態とには負の相関があった。

という結果になりました。「でも、どうしてスマートフォンを見る距離が近いと睡眠の質が全体的に下がるの？」と疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。その理由を筆者らはこう考察をしています。

「These findings suggest that people are exposed to light through smartphone monitors in high illuminance that mainly consists of blue light. （人々はスマートフォン主にブルーライトからなる明るい光に晒されると示唆される）」と述べています。

夜寝る前にスマートフォン、特に寝転んだ状態でスマートフォンを見ることは睡眠の質を下げ、日中溜まった疲労は取れず、日中の集中力が欠ける。それがさらに睡眠時間を減らし、睡眠の質を下げるといった悪循環をもたらす恐れがあります。

寝る前にスマートフォンを見る習慣がある方はせめて座ってスマートフォンをチェックするだけで良い睡眠が取れるかもしれません。

そんなことを示唆した論文でした。

スマートフォンは睡眠の質の低下以外にも、近視を進行させたりと様々な影響が分かってきています。僕のブログでも『スマホで近視はますます増える可能性！？96.5%が近視で悩む国も』という記事を書いています。スマートフォンの影響で近視が100%になる日も近くない。そんな記事を書いていますので、興味ある方は併せてご覧ください。

それではまた次回の記事でお会いしましょう！