おはようございます、doctorKです。
親御さんの中に、子どもが学校の視力検査でD判定をもらい眼科受診を勧められ、眼科医に「近視が進んでいますね」と言われたことはありませんか?
近視が進んでいると言われ、ネットを調べてみるとオルソケラトロジーやワック、アトロピンなど様々な治療方法が出てきます。
そこで、今回の記事では「現段階で最も治療効果が高いのはどの治療方法なの?」ということをメタ分析(複数の分析をさらにまとめた信頼度が極めて高い分析)で調べました。
論文の内容
今日紹介する論文は2018年にジェノバ大学のAldo Vaggeらが発表した論文で、タイトルは『Prevention of Progression in Myopia: A Systematic Review』になります。
早速ですが結果です。
Several strategies have been reported as effective. Spectacles and contact lenses have shown only slight results in the prevention of myopia and similarly ortokerathology should not be considered as a first-line strategy, given the high risk of infectious keratitis and the relatively low compliance for the patients. Thus, to date, atropine ophthalmic drops seem to be the most effective treatment for slowing the progression of myopia, although the exact mechanism of the effect of treatment is still uncertain. In particular, low-dose atropine (0.01%) was proven to be an effective and safe treatment in the long term due to the lowest rebound effect with negligible side effects.
この結果をまとめると、
- 眼鏡、コンタクトレンズはほんの僅かしか近視予防効果はない
- オルソケラトロジーは感染性角膜炎や親のコンプライアンスの懸念があり、第一選択にはならない
- アトロピン点眼が最も近視抑制効果があるが、どうして抑制するのかは定かではない
- 特に、0.01%のアトロピンは長期間で見て、効果的かつ安全な治療とされる
という結果でした。
眼科医にとっては0.01%アトロピン点眼が効果的だということは常識ではありますが、一般の方にはあまり知られていないかもしれません。
ただし、目薬を嫌がる子どももいたり、副作用がゼロではないので、そういった場合にはオルソケラトロジーやワックなどを選択することもあります。
また、オルソケラトロジーやワックなど他の治療方法のみを扱う眼科医もいます。
このように、様々な選択肢がある近視予防方法ですが、最終的には患者さんに合ったものを選択することになります。
「子どもの目が悪くなるのを防ぎたい」と思われる方は、近所の眼科を受診してみてはいかがでしょうか。
参考文献
Prevention of Progression in Myopia: A Systematic Review