全身疾患と目

多発性硬化症(MS)

多発性硬化症(MS)とは

中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患で、病変が時間的、空間的に多発することを特徴とする。高緯度地域で発症率が高く白人に多いとされる。2004年の本邦の調査だと、有病率は7.7/10万人、好発年齢は10~50歳の間(特に30歳前後)で、男女比は1:4と女性に多い。

多発性硬化症(MS)の眼症状

  • 視力低下(視神経炎による):最も多い。球後視神経炎として数日で急激に進む。
  • 複視(脳幹部病変による):両側性の核間麻痺が若年者にみられたら疑う。

多発性硬化症(MS)の検査

髄液検査

  • 急性期に細胞軽度増加リンパ球優位)
  • オリゴクローナルバンド(OB)が陽性

MRI

脱髄斑はT1強調で等信号、T2強調で高信号となる。FLAIR画像では脳室は黒く、病巣は白く描出される。病巣は脳室に接して見られることが特徴的で、円形や楕円形をしていることが多い。

多発性硬化症(MS)の診断基準

難病情報センターHP

多発性硬化症(MS)の治療

急性増悪期:ステロイドパルス療法

再発進行予防:インターフェロンβ、免疫抑制剤

多発性硬化症(MS)の予後

再発・寛解を繰り返すが、その頻度は症例によって異なる。

MSの全身合併症

  • 感覚障害
  • 平衡障害
  • 構音障害
  • 排尿障害
  • Lhermitte徴候(頸部屈曲時の電撃痛)
  • Uhthoff現象(労作時または体温上昇時に症状が増悪する現象)

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 眼科 2021年12月臨時増刊号 63巻13号 特集 覚えておきたい神経眼科疾患

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