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増殖性硝子体網膜症(PVR) | オンライン眼科
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増殖性硝子体網膜症(PVR)

増殖性硝子体網膜症(PVR)とは

増殖性硝子体網膜症(PVR)は裂孔原性網膜剥離に続発する眼内細胞増殖により網膜全層に及ぶ固定皺壁が形成され、網膜の可動性が著しく低下した病態を指す。PVRの多くは裂孔原性網膜剥離の手術不成功例に生じ、網膜剥離手術における重篤な合併症の1つとされる。

裂孔原性網膜剥離が生じて、網膜剥離下の網膜色素上皮細胞(RPE)が遊離し、裂孔を介して硝子体腔へと遊走してくる。その後、網膜面に付着して増殖し、サイトカインを産生し眼内増殖を促進させる。

RPEは線維芽細胞様に形質転換し、コラーゲンを産生する。その結果、膜状や索状の増殖組織を形成する。この他にもグリア細胞、マクロファージ、なども関与しPVRが形成される。

増殖性硝子体網膜症(PVR)の病期分類

以前はRetina Societyの旧分類がPVRの重症度に応じて、GradeA~Dの4段階に分類されていた。簡便かつ実用的な分類ではあったが、網膜固定皺壁の存在部位と前部PVRの概念が考慮されていなかった。そのため、1991年にMachemerらにより新分類が提唱された。

Retina Society Terminology Committeeの新分類

GradeA 硝子体混濁
硝子体中の色素塊
網膜上の色素塊
GradeB 網膜表層皺壁の形成
網膜血管の蛇行
網膜裂孔縁の立ち上がり
硝子体の可動性低下
網膜の伸展性低下
GradeC 網膜全層皺壁の形成
CP1-12:赤道部後方
AP1-12:赤道部前方
focal(局所性) 硝子体基底部より後方での皺壁
diffuse(びまん性) 硝子体基底部より後方での皺壁の集合
視神経乳頭が透見できないこともある
subretinal(posterior)
網膜下(前部/後部)
網膜下増殖:乳頭近傍の輪状、線状索虫食い状増殖膜
circumferetinal(円周性) 硝子体基底部後縁に沿った収縮
網膜の眼球中央への偏位
周辺網膜の伸展
後極部網膜の子午線皺壁
anterior displacement 増殖組織による硝子体基底部の前方偏位
周辺網膜の前方偏位
周辺網膜のくぼみ
毛様突起の牽引、増殖膜による被覆
虹彩の後方牽引

増殖性硝子体網膜症(PVR)の治療

治療方法は強膜バックリング手術硝子体手術とに大別される。

網膜固定皺壁が眼底周辺部に位置しており、裂孔閉鎖に影響を及ぼさない症例では強膜バックリング手術で十分復位可能である。一方で、網膜固定皺壁が裂孔の近傍あるいは後極に位置している症例や深部裂孔の症例は硝子体手術が選択されることが多い。

以前は強膜バックリング術後の非復位例に続発するPVRが多かったが、近年は裂孔原性網膜剥離に対して初回から硝子体手術を選択する施設が増えているため、前部PVRの症例が増加している。硝子体手術後のPVRは進行が早く、早期に再手術を施行すべきである。

また、シリコンオイル注入例では、特に下方に重篤な前部PVRを生じることがあり、再手術のタイミングが遅れる傾向にある。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版

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