中毒性眼疾患

シンナー中毒による眼症状

シンナー中毒

シンナー中毒には有機溶剤作業者に起こるものと、シンナー遊びなどの依存症の両方があり、特にシンナー遊びの患者が増加傾向とされる。

シンナー中毒による症状

1.眼症状

A. 視力低下

両眼性の比較的急激な視力低下を認める。

B. 眼球運動障害

衝動性運動障害、滑動性追従運動障害など

C. 瞳孔異常

暗所での散瞳が特徴的だが、長期間吸入していると目立たなくなる。

D. 視神経障害

発症早期には、視神経乳頭は軽度発赤し、辺縁不鮮明で視神経周囲の神経網膜の浮腫状混濁をきたす。後期には、視神経萎縮と神経線維束欠損を引き起こし視力低下をきたす。視野検査では中心暗点周辺部狭窄をきたす。

その他、中心フリッカー値の低下、視覚誘発電位(VEP)の潜時の延長、蛍光眼底造影検査で背景蛍光のむら、顆粒状造影などを認める。

2.全身症状

A.急性中毒症状

意識障害、構音障害、痙攣、複視、精神障害などがあり、最悪の場合は死亡する。中断により改善する。

B.慢性中毒症状

企図振戦、小脳失調、記銘力障害などが有名とされる。その他にも知能低下、言語障害、不眠などの報告がある。

シンナー中毒の診断

吸入歴があるかどうかの問診を行い、吸入直後であれば尿中馬尿酸の上昇を見る。しかし、半減期が約6時間であり、慢性中毒には有効とは言えない。

シンナー中毒の治療と予後

シンナーの解毒薬はない。ビタミンBの投与などが行われるが、劇的な効果はない。視神経萎縮に対してステロイドについては効果あり、なしの報告どちらもある。視神経萎縮までになると改善は難しい

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版
  2. 眼科学第2版

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