ドライアイ、眼の充血、花粉症の時期など、何かとお世話になる点眼薬。普段あまり意識しませんが実は点眼薬のメカニズムは非常に面白くて、理にかなった剤形をしているんですよ!
今回は現役薬剤師である薬剤師キクオ(@kikuo1005)が点眼薬のメカニズムだけでなく、目薬がどんな流れで身体を移動するのか、目薬の使い方や保存方法の注意点を解説していきます。
それでは、いってみましょう!
点眼薬のメカニズムを知ろう!
薬の成分を水に溶かして、眼の表面から吸収させるものが点眼薬です。点眼薬は涙と混ざりながら結膜にある袋に溜まり、角膜を通して吸収されます。
一方で、錠剤などの飲み薬は胃や腸の粘膜から吸収された後、血液に溶け込んで全身に送られます。点眼薬は眼に何か問題を抱えている時や、眼に対して直接的に吸収させるために開発された剤形と言えるでしょう。
点眼薬はどうやって身体を移動しているのか?
次に目薬がどのような流れで身体を移動するのかを理解しましょう。(図1)
図1
①涙点→②涙小管→③涙のう→④鼻涙管→鼻粘膜→⑥口腔内の順番で移動をしていきます。簡単に説明すると眼から鼻を通り、口に目薬の液体は辿り着くわけです。
目薬をした後に「味がする」などの声を聞きますが、口に移行をする場合があり味覚が反応するのですね!
点眼薬の正しい使い方は?
基本的な点眼方法は以下になります。
基本的な点眼方法
- 手をせっけんと流水で良く洗う。
- 下まぶたを軽く下に引いて、1摘を点眼します※。
- 点眼時には容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないように注意して下さい。
- 点眼後はまだたきをしないで、まぶたを閉じましょう。溢れてしまった液は手ではなく、清潔なガーゼやティッシュで軽くふき取って下さい。
- まぶたを閉じた状態で(1分~5分)待ちましょう。
※医師の指示がある場合にはそれに従って下さい。
一般の方は目薬をした時に、まだたきをパチパチと複数回する方がいます。
実はその行為によって目から鼻に薬が流れ出てしまい、点眼の効果が失われてしまう恐れがあります。ついつい良くやってしまいますが、「点眼後はまだたきをしない」を最低限覚えておくと良いでしょう!
点眼薬の保存方法で気を付けることは?
薬剤師をしていて良く聞かれる質問が「点眼薬の保存方法」です。
もちろん、点眼薬によって保存方法は異なりますが、基本は室温保存で問題ありません。
点眼薬に「冷所」と記載があるものは冷蔵庫で保存する必要があるので、分からない方や不安な方はかかりつけの薬剤師に確認するのがベストです。
たまに車の中で点眼薬を保存している方がいますが、温度が高くなり、使用不可になる恐れがあるので避けて下さい。
他にも開封後における点眼薬の使用期限は約1ヵ月になるので、古くから処方してもらっている目薬は要注意です。
まとめ
ここまで読んで頂きまして、誠にありがとうございます!
点眼薬は眼に対して効果を期待している剤形であること、また眼から鼻、口へ移動していく薬であることが分かりました。
そして、点眼時にまだたきをすることはNGであること、鼻や口へ成分が移行してしまう内容を理解すれば、正しい点眼方法も忘れずに理解出来ると感じています。
たくさんの目薬が世の中で販売をしていますが、薬の細かいことなら、眼科医もしくは薬剤師に確認するとスッキリと解決をするでしょう。
少しでもこの記事が医療に貢献出来れば幸いです。今回はこの辺で!それでは、また!