そう告げられたパパ・ママは不安や疑問がいっぱい。
「赤ちゃんの目はどうなるの?」「後遺症はないの?」心配なことはたくさんありますよね。今回は赤ちゃんの眼の病気「未熟児網膜症」を、元NICU看護師小田あかり(@Akari_writingns)とドクターKがわかりやすく解説していきます。
最後まで読むと、少しだけ未熟児網膜症について詳しくなり、不安がやわらぐ記事になっています。
未熟児網膜症はどんな病気ですか?
赤ちゃんの眼の血管は妊娠12~14週頃から成長をはじめ、妊娠30週頃に完成します。予定より早く産まれた赤ちゃんは、眼の奥にある網膜の血管の発達も未熟な状態です。
産まれた直後には網膜の血管の成長が止まるので、そこから異常な血管が生えることがあります。この状態を未熟児網膜症と呼んでいます。
どんな赤ちゃんがなりやすいですか?
小さく早く産まれた赤ちゃんは発症リスクがとても高く、重症化しやすいといわれています。
参考までに、東京都で2002年4~10月に生まれた1000g未満の赤ちゃんのうち、未熟児網膜症の割合は86.1%。治療が必要になった赤ちゃんは41.0%、重症と診断された赤ちゃんは4.9%でした。
未熟児網膜症はどうやって診断しますか?
生後1~3週間以降に眼科医が「眼底検査」を行い診断します。
未熟児網膜症は治りますか?
ごく軽度では、自然に治ることがほとんどです。
中等~重度では、レーザー治療や必要であれば手術を行います。2019年11月にラニビズマブが承認され、その治療に選択肢が増えました。
ただし、重度の場合にはレーザー治療を適切に行っていても、網膜剥離や視力低下・斜視のリスクが高く、最悪の場合失明する危険性があります。
気になる質問 ドクターが解説!
担当の先生には聞けない不安や質問。ドクターKがわかりやすくお答えします。
Q1.大人になったときに影響がありますか?後遺症はありますか?
軽度であれば、ほとんど心配はありません。中等度や重度の場合には、近視になりやすく乱視や斜視、網膜剥離などのリスクが高くなります。
だたし個人差がありますので、大きくなってからも、視力や眼の違和感などには注意しましょう。
Q2.見た目は変わりますか?
未熟児網膜症は眼の奥にある網膜の病気です。見た目には変わりがありません。
Q3.一生眼科に通院する必要がありますか?
軽度では退院時に、眼科の受診が不要になることがほとんどです。中等度以上は定期的に受診が必要です。重度では、生涯眼科受診が必要になる場合があります。
Q4.赤ちゃんのためにできることはありますか?
大きくなるまで継続的な受診が必要になることもあります。
医師の指示を守って、赤ちゃんの眼を大切にしていきましょう。
まとめ
未熟児網膜症は自然によくなる赤ちゃんもいますが、治療が必要になる赤ちゃんがほとんどです。また、後遺症はゼロではない病気です。
私がNICUで働いていた頃も、パパ・ママは不安で心配なこと、不安なことをたくさん抱えていらっしゃいました。たくさんのご家族のご相談にのってきましたが、医療者には相談しにくいこともあると思います。
けれども、赤ちゃんの病状を一番わかっているのは、担当医の医師や看護師です。気になることを聞くことは迷惑でも、うるさい親でもありませんので、ぜひ相談してみてください。不安や疑問を解消して、みんなで赤ちゃんの眼をまもっていきたいですね。
参考文献
- 未熟児網膜症 日本小児眼科学会
- 未熟児網膜症 | 国立成育医療研究センター
- 未熟児網膜症(ROP) – 23. 小児の健康上の問題 – MSD …
- 平岡美依奈, ほか. 日本眼科学会雑誌. 2004; 108: 600-605