斜視・弱視

上斜筋ミオキミア

上斜筋ミオキミアとは

上斜筋ミオキミア(superior oblique myokymia:SOM)は、片眼の上斜筋が発作的に細かく収縮し、片眼性の揺れ感・動揺視・一過性の複視を起こすまれな疾患です。

典型的には、患者さんは「片目だけ景色が細かく揺れる」「文字がブルブルする」「下を向くと二重に見える」と訴えます。

症状の特徴

典型例は以下の特徴があります。

  • 片眼性
  • 数秒〜数分の発作性
  • 垂直性・回旋性の細かい揺れ
  • 動揺視、上下方向の複視
  • 下方視や内下方視で目立つことがある
  • 疲労、ストレス、気分変化、光刺激などで誘発されることがある

まぶたのピクピク、つまり眼瞼ミオキミアと混同されやすいですが、SOMは「まぶた」ではなく眼球そのものが細かく動く点がポイントです。

所見

診察時に発作が出ていないと、所見がかなり乏しいことがあります。発作中は、細隙灯で虹彩や結膜血管を観察すると、片眼に低振幅・高頻度の垂直回旋性運動が見えることがあります。

原因・病態

多くは明らかな原因がない特発性です。病態としては、滑車神経の膜興奮性変化や、神経線維間の異常伝導、が関与すると考えられています。一部では、滑車神経の出口付近に血管圧迫が関与する可能性があります。

ただし、脳幹腫瘍や小脳橋角部腫瘍などが原因となることはまれで、多くの軽症例では重大な基礎疾患を伴わないとされています。

検査

診断は基本的に病歴と診察所見による臨床診断です。

診察で発作が確認できない場合は、患者さんにスマホ動画を撮ってもらうと有用なことがあります。

MRIは全例必須というより、以下のような場合に検討されます。

  • 症状が強い、長引く
  • 非典型的
  • 神経症状を伴う
  • 治療抵抗性
  • 手術を検討する
  • 血管圧迫や腫瘍性病変を除外したい

薬物治療に反応しない症例では造影MRIを行うこと、難治例で神経血管減圧術を考える場合には神経画像検査で血管異常や腫瘍を評価することこともあります。

治療

軽症で生活に支障が少なければ、経過観察でよい場合も多く、症状が強い場合は薬物治療を考えます。

報告されている治療には、

  • 点眼β遮断薬
  • カルバマゼピン
  • ガバペンチン
  • フェニトイン
  • プロプラノロール
  • クロナゼパム
  • バクロフェン
  • メマンチン
  • ボツリヌス毒素
  • 上斜筋腱手術
  • 滑車神経の神経血管減圧術

などがあります。ただし、症例数が少なく、症状の自然変動もあるため、標準化された治療プロトコールは確立していません。

実際には、まず症状の頻度・支障度・合併症リスクを見て、軽症なら説明と経過観察、困る症状があれば点眼β遮断薬や内服薬を検討、難治例では斜視手術や神経血管減圧術を専門施設で検討、という流れになります。

参考文献

  1. Superior Oblique Myokymia
  2. Superior Oblique Myokymia
オンライン眼科のサポート