スポンサーリンク
急性前部ぶどう膜炎(AAU)とは
急性に発症する前眼部の炎症を主体とするぶどう膜炎で、視力障害と強い眼痛を伴うことが多い。AAUはHLA-B27が陽性であることも多く、その場合はHLA-B27関連ぶどう膜炎とされる。
HLA-B27関連疾患は下記の通りである。AAUでHLA-B27陽性患者は4~63%と開きがあり、HLA-B27関連ぶどう膜炎患者の19.2~50%に強直性脊椎炎を合併するとされている。
HLA-B27関連疾患一覧
- 強直性脊椎炎
- Reiter病
- 乾癬性関節炎
- 炎症性腸疾患
また、AAUは欧米ではぶどう膜炎全体の50%を占めるが、日本では2.5~6%程度とされており、地域差を認めている。
急性前部ぶどう膜炎(AAU)の症状
通常は片眼性で、急性に発症する。
自覚症状
眼痛、羞明、視力低下などを自覚する。
他覚症状
- 非肉芽腫性前部ぶどう膜炎
- 強い結膜充血、毛様充血
- 前房:多数の炎症細胞、強い蛋白、フィブリン(フィブリンが虹彩あるいは水晶体全面に付着し、瞳孔領を覆うこともある。)、前房蓄膿、隅角蓄膿
- 角膜:細かい角膜後面沈着物(KPs)、Descemet膜皺壁
- 虹彩後癒着によりiris bombeを起こし、急性閉塞隅角緑内障を起こすことも
※前眼部とあるが、軽度硝子体混濁、視神経乳頭の発赤・腫脹、網膜静脈の拡張、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、続発緑内障を伴うこともある。
急性前部ぶどう膜炎(AAU)の診断
上記記載の他覚症状から診断される。HLA-B27陽性か否かは臨床症状から判断できないが、検査は費用の問題もあるため必須ではない。AAUが疑わしい場合にはHLA-B27関連疾患の合併も精査する必要がある。
1.強直性脊椎炎
脊椎、仙腸関節とその周囲にみられる慢性関節炎で、若年男性に多い。HLA-B27陽性急性ぶどう膜炎を呈することがある。特に、長期に渡り、脊椎炎が存在する患者に頻度が高い。
2.Reiter病
関節炎、尿道炎、結膜炎が三徴で、患者の約75%にHLA-B27が陽性である。主に結膜炎だが、その約8-40%に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎がみられる。
急性前部ぶどう膜炎(AAU)の治療
前房の炎症が強いため、ステロイドによる消炎を行う。また、虹彩後癒着を防止するため散瞳薬も用いる。
処方例)
- リンデロン点眼・点耳・点鼻液(0.1%)1~2時間ごとの点眼(その後6回→4回→2回/日と減らしていく)
- ミドリンP点眼液およびネオシネジンコーワ点眼液(5%)1日3回点眼
- デカドロン(3.3㎎/ml)1回0.3ml結膜下注射、あるいはケナコルト-A(40mg/ml)50μlずつを結膜下2か所に注射
or
プレドニゾロン錠(5㎎)1日30㎎を3日間、さらに1日20㎎を3日間、1日10㎎を3日間
急性前部ぶどう膜炎(AAU)の予後
視力予後は概して良好だが、炎症の持続期間は1~2カ月間とされる。
参考文献
関連記事
ぶどう膜とその疾患このページではぶどう膜とその疾患についてのリンクを掲載しています。...