網膜とその疾患

後部硝子体剥離(PVD)

後部硝子体剥離(PVD)とは

PVDは後部硝子体皮質が経年性もしくは病的変化により網膜から剥離した状態で、PVDは網膜硝子体疾患の予後判定や手術適応の決定に重要とされる。経年性PVDは正視眼で70歳代の70%程度に認め、近視眼(遠視眼よりも約10年早い)ではその割合が高くなる

  • 糖尿病網膜症において完全後部硝子体剥離(complete PVD)の状態であれば進行しないが、逆に後部硝子体剥離がなかったり(no PVD)、部分的であったり(partial PVD)すると網膜新生血管が発生し牽引性網膜剥離に進行する恐れがある。
  • 裂孔原性網膜剥離においてno PVDでは急速な網膜剥離の進行は少ないが、PVDに伴う弁状裂孔では急速に網膜剥離が進行する。硝子体ゲル内にタバコダストや出血を伴ったPVDはどこかに網膜裂孔があると思って診察すべきである。

後部硝子体剥離(PVD)の症状

PVDに伴う乳頭前グリア環などの硝子体混濁により飛蚊症を自覚する。PVDに伴う網膜格子状変性への牽引では光視症や網膜裂が現れ、黄斑部の牽引では視力低下、変視症を訴える。

後部硝子体剥離(PVD)の診断

PVDの有無は眼底所見光干渉断層計(OCT)より判断することができる。

EyeRounds.org HPより引用

PVDがあると、網膜裂孔が約10%、硝子体出血が約8%に見られる。特に、硝子体出血がある場合は、網膜裂孔が隠れていないかに注意して経過観察を行う。

後部硝子体剥離(PVD)の治療

経年性のPVDに伴う飛蚊症は積極的な治療の必要性はないが、PVDに伴う網膜硝子体疾患はその疾患に応じた治療を行う。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版
  2. 眼科学第2版

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