全色盲は先天性の錐体機能不全を呈する疾患で、杆体一色覚と青錐体一色覚に分けられる。全色盲の一般的な特徴的は錐体ジストロフィ、錐体杆体ジストロフィに類似するものの、視力が良好な時期はない。そのため、進行は乏しい。

錐体ジストロフィこの記事では錐体ジストロフィについて説明しています。錐体ジストロフィについて知りたい方は必見です。...
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杆体一色覚
完全型
L、M、S錐体を含む錐体機能が生来から完全に失われ、視細胞が全て杆体細胞に置き換わる疾患である。欧米での頻度は数万人に1人とされているが、日本での頻度は不明である。常染色体潜性遺伝で、6個の病因遺伝子が報告されている。欧米ではCNGA3とCNGB3遺伝子が主で全体の8割を占めるが、日本ではCNGA3とPDE6Cが多いとされる。
症状
- 低視力
- 振子眼振
- 羞明
眼底所見
黄斑変性、萎縮を認めることがあるが、正常なことが多い。
FAF
所見は乏しい。
OCT
黄斑萎縮があればEZを含む外層網膜の菲薄化・消失を認める。眼底に異常がなければEZは不明瞭でも比較的保たれる。
網膜電位図(ERG)
全視野ERGで、杆体応答は正常範囲内だが、錐体応答の反応はない。
不全型
完全型に類似している部分が多いが、一部の錐体機能が残存している。本疾患も常染色体潜性遺伝である。
症状と検査所見
症状は同様の症状がみられるが、矯正視力が0.2~0.3程度に保たれ、完全型と比べて軽度である。また、眼底所見、FAF、OCTの所見は完全型に類似するが、全視野ERGは錐体応答が残存している。
S錐体一色覚
杆体一色覚に類似する遺伝性網膜疾患で、疾患頻度は数十万人に1人程度とされる。S錐体のみ機能を有し、杆体機能も正常である。X連鎖潜性遺伝であり、罹患者は男性のみである。原因遺伝子はOPN1LWおよびOPN1MW遺伝子の不活化による。
症状と検査所見
杆体一色覚に類似するが、色刺激ERGによってS錐体応答が検出できる点が鑑別のポイントとなる。
参考文献
- あたらしい眼科 Vol.42, No.3, 2025
- GENETIC ETIOLOGY AND CLINICAL FEATURES OF ACHROMATOPSIA IN JAPAN