原発開放隅角緑内障(POAG)とは
原発開放隅角緑内障(POAG)は、
- 隅角検査で正常隅角
- 眼圧≧22mmHg
- 視神経乳頭の緑内障性変化とそれに相当する視野欠損あり
これらを満たす。POAGの眼圧が上昇するのは、隅角と線維柱帯における機能的な房水流出障害(主に線維柱帯における抵抗の増大)によるとされる。
また、POAGの頻度は多治見スタディによれば0.3%、久米島スタディでは0.7%とされる。家族歴もしばしばみられ、現在では多くの遺伝子座が特定されており、今後さらに詳細が明らかになってくると思われる。
続発開放隅角緑内障
色素緑内障や落屑緑内障が含まれ、これらの症例では前房隅角に強い色素沈着がみられる。
原発開放隅角緑内障(POAG)の症状
初期の視野欠損は自覚されにくく、多くは健診等で異常を指摘されることが多い。自覚症状が出る頃には、部分的な視野欠損を認めるなど進行している例も少なくない。
原発開放隅角緑内障(POAG)の診断
POAGの診断は上記の①~③に加え、「他に眼圧上昇を生じる原因がない」ことから診断できる。
- 隅角検査で正常隅角
- 眼圧≧22mmHg
- 視神経乳頭の緑内障性変化とそれに相当する視野欠損あり
緑内障における視神経乳頭所見
- 陥凹拡大
- ノッチング
- リム(辺縁部)の菲薄化
- 網膜神経線維層欠損(NFLD)
- 乳頭出血
- 傍乳頭網脈絡膜萎縮
- ラミナドットサイン
視野検査は静的量的視野検査が主体で、通常の診断と経過観察には中心24~30度の測定を用いる。また、より早期の視野障害を検出する方法として、FDTやSITA-SWAPなどが用いられている。
原発開放隅角緑内障(POAG)の治療
POAGの治療方針としては、初期治療においては眼圧の目標値はまずhigh teen以下とする。その後、中期でmiddle teen、low teenを目標とする。とはいえ、乳頭視野の変化が軽度であれば眼圧を18mmHg以下に維持することによって視野進行を阻止できることが多い。進行していれば眼圧を10-12mmHgに保つことが重要とされる[2]。これら目標値を達成するため、薬物治療と外科的治療を行う。
1.薬物治療
POAGの治療はまず薬物治療を行い、単剤の眼圧下降薬から始め、進行に応じて点眼を追加していく。現時点ではプロスタグランジン関連薬を第一選択、β遮断薬を第二選択、それ以降は炭酸脱水素酵素阻害薬、α2作動薬、ROCK阻害薬や選択的EP2受容体作動薬が使用される。さらに、2010年より配合剤が使用可能となり、点眼回数を増やすことなく、複数の薬剤の効果を作用させることができる。
2.外科的治療
薬物治療を十分に行っても進行傾向であれば手術適応となる。POAGの術式は、主に線維柱帯切開術と線維柱帯切除術がある。2012年にはチューブシャント手術が認可された。他にも、バルベルト®緑内障インプラント手術、エクスプレス・マイクロチューブシャント手術などが行われる。
原発開放隅角緑内障(POAG)の予後
POAG単独で重篤な視機能障害まで至る例そのものは稀とされるが、ロービジョン外来を受診した緑内障患者では、POAG患者の割合が最も高いとされる。