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側頭動脈炎(巨細胞動脈炎)とは
側頭動脈の亜急性肉芽腫性および狭窄性変化を側頭動脈炎という。この疾患は高率に眼病変を伴い、炎症が側頭動脈に限らず中等大以上の動脈、特に他の脳動脈を障害し、組織学的に巨細胞が証明されたことから巨細胞動脈炎と呼ばれる。60歳以上に多く、やや女性に多い傾向にある。黒人や東洋人には稀とされる。
側頭動脈炎(巨細胞動脈炎)の症状
頭痛、筋力低下などの症状に加え、視力喪失(30~50%)を認める。急激に発症し、重篤な視力障害をきたす。前部虚血性視神経症(AION)は最も多い眼症状で、これは動脈炎による短後毛様動脈の閉塞による。また、網膜病変として視神経乳頭浮腫が特徴的で、乳頭近くに網膜症出血を認めることが多く、蛍光眼底造影検査が有用である。一過性黒内障(2~19%)の原因でもあり、この他にも網膜中心動脈閉塞症、外眼筋麻痺などの原因となることがある。
側頭動脈炎(巨細胞動脈炎)の診断
以下5項目中3項目以上で診断
- 50歳以上
- 新規頭痛:今まで経験したことのない頭痛
- 頚動脈の動脈硬化と関係のない側頭動脈に沿った圧痛あるいは脈拍減弱
- 赤沈値50㎜/h以上
- 動脈生検異常:通常は巨細胞を伴う血管炎
側頭動脈炎(巨細胞動脈炎)の治療
失明のリスクがあるため、診断後は速やかな治療が必要となる。
- 眼・中枢神経・脳神経症状がない→プレドニゾロン(PSL)30~40㎎/日
- 眼・中枢神経・脳神経症状がある→PSL1mg/kg/日
を3~4週間投与後、症状や炎症マーカーを指標にしてステロイドを減量する。減量困難であれば保険適用外でメトトレキサートなどの免疫抑制薬の併用を行う。ただし、高齢者の場合には腎機能低下など副作用に注意する。
参考文献
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