おはようございます。早速ですが、皆さん『オルソケラトロジー』という言葉聞いたことありますか?
Googleから『オルソケラトロジー』というワードを検索すると、下の写真のようにオルソケラトロジーに関連したサイトが多く検出できます。
オルソケラトロジーとは
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、近視は目の長さ(眼軸長)が長くなることにより近視は進行します。その眼軸長の伸長を抑えるのがオルソケラトロジーです。
オルソケラトロジー用のコンタクトレンズを寝ている間に装用することで、角膜の形状が矯正されます。その結果、日中はレンズを外しても角膜形状が維持されている間は、裸眼で過ごすことができるようになります。
これを聞いて、
「なんか胡散臭い」
「本当に効果あるの?」
と思われる方もいると思います。
実際に僕も最初はそう思っていました。そこで、今回はその疑問を解消する論文を解説します。
オルソケラトロジーは有効!?
論文は2015年にJun-Kang Siらによって発表された論文で、タイトルは
「Orthokeratology for Myopia Control: A Meta-analysis(近視調節のためのオルソケラトロジーメタアナリシス)」
です。この論文の結論を言うと
オルソケラトロジーはゆっくりだけど効果あるかもね
です。一応、論文の結語を載せておきますね。
Our results suggest that orthokeratology may slow myopia progression in children.Further large-scalestudies are needed to substantiate the current result and to investigate the long-term effects of orthokeratology in myopia control.
また、今回の論文は比較的小規模で短期間でしたので、大規模で長期間の研究が必要だとも述べています。
とはいえ、効果があるかもとありますから、具体的にどの程度改善があったのか、本文の結果を見ましょう。
The present meta-analysis included seven studies (two randomized controlled trials and five nonrandomized controlled trials) with 435 subjects (orthokeratology group, 218; control group, 217) aged 6 to 16 years. The follow-up time was 2 years for the seven studies. The weighted mean difference was -0.26 mm (95% confidence interval, -0.31 to -0.21; p < 0.001) for axial length elongation based on data from seven studies and -0.18 mm (95% confidence interval, -0.33 to -0.03; p = 0.02) for vitreous chamber depth elongation based on data from two studies.
435人の子どもたちを対象とし、そのうち218人はオルソケラトロジー有り、残り217人をオルソケラトロジー無しとしています。
2年間のフォローで、冒頭でも述べた目の長さ(眼軸長)の伸びが約0.2mm抑えることができたそうです。1mmの変化で3D変わりますから、単純計算で0.6D変わります。焦点の位置が15cmくらいしか変わらないので、この変化は本当に僅かかもしれません。
しかし、2年間でこの値ですから長期間になればもっと変わるかもしれません。だから本文の結論にもある通り、オルソケラトロジーがより効果的だと示すために長期間の研究が必要になります。
『スマホで近視はますます増える可能性!?96.5%が近視で悩む国も』でも述べた通り、近視有病率は増加傾向です。
今後はスマホの普及やプログラマーなどの低年齢化によりますます近視は増えるでしょう。こうして子どもの近視が増えていく中、オルソケラトロジーを行なっている眼科も増えてきています。
今回の記事でオルソケラトロジーに興味を持っていただいた方は一度眼科を受診していただき、オルソケラトロジーを試してはいかがでしょうか。
参考文献
Optometry and Vision Science. 92(3):252–257, MARCH 2015