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帯状角膜変性症とは
瞼裂部を中心に、Bowman膜へカルシウム(Ca)沈着がして生じる角膜混濁を帯状角膜変性と言います。原因としては下記の通り。
- 原発性
- 内眼疾患(実質性角膜炎、ぶどう膜炎、緑内障など)←これが最多
- 高Ca血症(副甲状腺機能亢進症、尿毒症、サルコイドーシス、Still病、多発性骨髄腫、VitD中毒)
- 痛風
- シリコンオイル注入
などが挙げられる。また、ドライアイも増悪因子とされる。内眼疾患などではCaが細胞質外に沈着するためBowman膜を貫通する神経線維内には沈着しない。よって、神経線維部が孔のように見える(スイスチーズ様所見)がここに血管新生は認めない。高Ca血症では細胞質内にカルシウムが沈着する。
帯状角膜変性症の症状
軽症例では無症状のことが多い。進行して瞳孔領を覆うと視力障害をきたすことがある。また、上皮不整やびらんによる疼痛、異物感を生じることがある。
帯状角膜変性症の診断
特徴的な帯状の白濁が、通常、3時と9時方向の角膜周辺部から生じることから診断できる。角膜輪部と沈着の間には透明帯が存在し、進行すると角膜中央に進展する。
帯状角膜変性症の治療
視力障害、異物感がある場合に治療を行うことが多い。治療方法は主に3つ知られている。
1.注射針による局所的Ca除去
27Gの針を用いて、めくるように除去する。ただし、実質が菲薄化していることもあるため、注意する必要がある。
2.薬液塗布による除去
治療的レーザー角膜除去(PTK)をするには角膜が薄い、あるいはPTKによる遠視化が問題となる場合に適応となる。機械的に角膜上皮を除去し、0.4~1%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)あるいは1%塩酸処理塗布による除去を行う。塗布後、十分量のリン酸緩衝液もしくは生理食塩水で洗浄する。
3.エキシマレーザーによる角膜切除
レーザーを用いて上皮剥離することなく、沈着物を除去する。ただし、施行するには十分な角膜厚と術後約3D遠視化の了解が必要である。
帯状角膜変性症の予後
進行は緩徐で、処置により速やかに改善するが、再発することも多い。
参考文献
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