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後部ぶどう腫とは
後極部に機械的な伸展が強く加わると、眼球襞の外側方向への異常突出する。強度近視に見られる異常の一つで、原因は不明とされる。近視性網膜症を発症しうるため、後部ぶどう腫を有する症例では視力障害をきたす可能性が高い。
後部ぶどう腫の分類
細隙灯顕微鏡所見から10種類に分類し、typeⅠ~Ⅴの5つの基本形と、typeⅥ~Ⅹの5つの複合型から構成される。TypeⅠが最も多く、55%を占めると報告されている。ちなみに、日本人について言えば、下記のような割合となる
209眼の強度近視(-8D未満または眼軸長26.5㎜以上)の割合
- TypeⅡ(ぶどう腫が乳頭より鼻側に存在しない)52.7%(→TypeⅨへ伸展する例も多かった)
- TypeⅠ23.4%
- TypeⅨ17.0%
※TypeⅣ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅹは見られなかった。
後部ぶどう腫の診断
後部ぶどう腫は検眼鏡所見より診断できる。また、後部ぶどう腫は様々な網脈絡膜の異常が観察される。後部ぶどう腫が黄斑に存在する場合は、高度な網脈絡膜萎縮が存在していることが多い。さらに、陥凹の境界部は色素沈着や脱失などが観察されることが多い。
また、後部ぶどう腫が黄斑部にある場合、中心窩に対して縦方向の異常牽引が生じ、中心窩分離が発症することがある。中心窩分離は経年変化により黄斑円孔、網膜剥離に移行しうる。なお、この中心窩分離は光干渉断層計(OCT)にて診断できる。
後部ぶどう腫の治療
後部ぶどう腫だけで視力が低下することはないが、何らかの近視性網膜症を伴って結果的に視力が落ちていることが多くなる。現在のところ後部ぶどう腫に対する治療はないが、眼球変形を予防する目的で、強膜クロスリンキングなどの治療が検討されている。なお、種々の近視性網膜症に対して各疾患毎の加療をする。近視性網膜症に対してはその疾患に応じた加療を行う。
参考文献
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