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急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)とは
脈絡膜毛細血管板の輸入細動脈に発生した遅延型過敏反応(Ⅳ型アレルギー)による閉塞性血管炎が発症機序として想定されている。原因は不明だが、ウイルス感染などが疑われている。10~30歳代に好発し、性差はない。
急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)の症状
軽度視力低下と中心暗点、変視症、小視症などがある。
急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)の検査所見
1.眼底所見
両眼後極部に網膜深層~網膜色素上皮レベルに灰白色の円板状白斑が多発性にみられる。病巣は境界不明瞭、大きさは1/4~1/2乳頭径でほぼ均一であることが多い。数は数個~多数で、個々の病巣は一定以上に拡大せず、進行や癒合傾向は少ない。
視神経乳頭浮腫を伴うことがあるが、漿液性網膜剥離や網膜出血を伴うことはまれである。眼底の滲出斑は数日のうちに中心部から消退し、1-3週間でほとんどは瘢痕を残さずに治癒することが多い。
Eye Rounds HPより引用
2.フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)
造影早期は白斑部が低蛍光、後期には過蛍光を呈する(=蛍光の逆転現象)。
Eye Rounds HPより引用
3.インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(IA)
白斑部は早期から後期まで低蛍光を示すが、慢性期になるとその大きさは縮小し、境界不鮮明となる。
4.OCT
- 脈絡膜肥厚
- 漿液性網膜剥離がみられる
これらのためVKHとの鑑別が重要で、FA、IA(最も鑑別に有用)を行い鑑別する。
急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)の治療
炎症性疾患のため、抗炎症療法を行う。具体的には、発症初期にステロイドの内服によって罹病期間短縮を目指す。また、脈絡膜循環障害改善のため微小循環改善薬を投与する。
処方例)
- プレドニン錠(5㎎)1日30㎎より漸減(2週間~1か月)
- カルナクリン錠(25・50単位)3錠分3
急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)の予後
自然治癒傾向が強く、視力予後は通常良好で再発はまれである。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 眼科学第2版
- 日本の眼科2025年1号96巻
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