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網膜裂孔、網膜円孔とは
- 網膜裂孔:感覚網膜の全層の裂け目
- 網膜円孔:神経網膜全層の欠損
これらいずれも網膜剥離に進展する恐れがある。
網膜裂孔は網膜硝子体癒着の部分で硝子体牽引が生じ、網膜が裂けた状態である。その多くは網膜格子状変性(人口の8~10%)に起因する。鈍的外傷に伴う裂孔原性網膜剥離の場合は耳下側の赤道部に生じることが多い。
網膜円孔は網膜の萎縮により感覚網膜全層の欠損が生じるもので、これも網膜格子状変性により生じることが最も多い。
網膜裂孔、網膜円孔の症状
網膜裂孔
- 光視症(網膜裂孔が生じる前に光視症を訴えることがあるが、光視症なしに裂孔を生じることもしばしば)
- 飛蚊症(急性後部硝子体剥離が生じると訴える)
- 視野欠損(網膜剥離を生じると訴える)
網膜円孔
無症状なことが多い
※硝子体出血を伴う急性後部硝子体剥離の場合は70%に網膜裂孔を伴う一方、硝子体出血を伴わない場合は2~4%の裂孔発生という報告がある。
網膜裂孔、網膜円孔の合併症・併発症
- 網膜剥離(網膜裂孔から進展する恐れあり)
- 黄斑前膜(網膜裂孔から遊走した網膜色素上皮細胞が網膜表面の薄い硝子体皮質を足場にする)
- 硝子体出血(網膜裂孔部で血管が破綻しうる)
網膜裂孔、網膜円孔の診断
細隙灯顕微鏡による倒像あるいは接触型三面鏡による眼底検査で診断する。鈍的外傷の受傷眼の場合は、受傷直後に網膜剥離を生じるものは12%、1カ月以内に30%、8カ月以内に50%、24カ月以内に80%という報告があり、定期観察が必要とされる。
網膜裂孔、網膜円孔の治療
網膜裂孔、網膜円孔があればレーザー光凝固を行い、格子状変性に起因する場合はその周りも凝固する。裂孔周囲が一乳頭径以上剥離している場合は網膜復位術を行う方が良いとされる。
網膜格子状変性内の円孔の場合は、それが網膜剥離になる危険性は数%で、予防的レーザー光凝固後もその確率は変わらないという考えもある。
網膜裂孔、網膜円孔の予後
レーザー光凝固を施行した場合も、硝子体牽引が強くなると網膜剥離を生じうるので、1、2週後、1か月後の経過観察を行う必要がある。その経過観察後も飛蚊症が強くなるようならすぐ受診するよう伝える必要がある。
参考文献
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