・発達白内障ってどんな病気なの?
と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。
先天・発達白内障とは
先天的素因によって起こる水晶体の混濁で、単独の発症の場合もあるが、他の眼異常や全身疾患を合併することもある。
生後3か月以内に発症するものを先天白内障、それ以後を発達白内障という。
先天・発達白内障の病因
- 特発性(原因不明):30~50%
- 遺伝性:常染色体優性遺伝が多く、常染色体劣性、伴性劣性もある。
- 子宮内感染:風疹、ヘルペス、サイトメガロウイルス、トキソプラズマなど
- 代謝異常:ガラクトース血症(短期間で成熟白内障となる)、低カルシウム血症、ホモシスチン尿症、Lowe症候群、Alport症候群など
- 染色体異常:Down症候群など
- 眼疾患に伴うもの:小眼球、先天無虹彩、第一次硝子体過形成遺残など
- 全身疾患・症候群:骨疾患、中枢神経系疾患、筋疾患、皮膚疾患、Hallermann-Streiff症候群、Pierre Robin症候群など
先天・発達白内障の治療
手術適応かどうかは年齢、発症時期、水晶体混濁の程度と左右差、合併症の有無、弱視の程度と予後の評価などを総合的に評価する。
生直後から高度の混濁がある先天白内障は、両眼性では生後10~12週以内、片眼性では生後数日以内の早期手術を行わないと良好な視力予後は得られない。また、斜視、眼振、異常眼球運動を生じた例では形態覚遮断弱視が形成されている場合、あるいは眼・全身合併症を認める場合は予後不良となる。生後2歳以降に発症した発達白内障では術後の視機能の予後は良好とされる。
一般的に手術適応とならないのは、下記のように視機能向上が望めない場合とされる。
- 重篤な中枢神経系疾患がある
- VEPで反応不良
- 術後の弱視訓練に家族の協力が得られない
※眼振や眼位異常がなく、左右の視力差に関係なく、Landolt環視力で0.3以上あれば手術せずに弱視管理を継続する。
手術方法として乳児期は水晶体および前部硝子体切除術が第一選択とされる。1~2歳以降の合併症のない発達白内障に対しては眼内レンズ(IOL)を挿入術が検討される。特に、視力予後不良な片眼例や発達遅滞、術後、屈折未矯正となる可能性の高い症例に好適応である。ただし、生後2歳までは視覚の感受性が高く、手術侵襲に対する炎症反応も強く現れ、眼球の成長に伴う屈折の変化もあるため術後管理には注意を要する。術後無水晶体眼であればコンタクトレンズか眼鏡で屈折矯正を行う必要がある。
風疹白内障では患児の血中のウイルス非生存の確認が手術の条件となる。もし生存していると、血液網膜関門の破壊によって眼内へウイルスが散布され、術後に風疹網膜症になりうる。