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涙道検査とは
涙道検査は涙液分泌異常や顔面神経麻痺など機能性障害による流涙症を除外した導く涙性障害が疑われる流涙症に対し、涙道閉塞の有無を確認する検査である。
検査は大きく5種類あり、それぞれについて概説していく。
1.通水検査
涙点から涙管に注入した生理食塩水が鼻に流れるかどうかを確認し、閉塞の有無を確認する。実際の検査は通水検査用の洗浄針を使い、涙点から涙小管へ挿入し、鼻へ流れるかを確認する。
1.閉塞の有認する
- 鼻に水が流れる→閉塞なし
- 鼻に水が流れない→閉塞あり
2.閉塞部位を確認する
- 上下涙点の交通がない→総涙小管の手前で閉塞あり
- 膿の逆流あり→鼻涙管閉塞の可能性大(涙嚢内の膿が涙小管に及ぶため)
- 膿の逆流ほとんどなし→総涙小管、涙小管が閉塞している可能性大
※閉塞がないのに涙小管が腫れて、膿や結石が認められる場合は、涙小管炎を疑う。
2.涙道プロービング(涙道ブジー)
涙点からプローブを挿入し、閉塞部位を直接確認する。検査でプロービングを用いる場合には皮下注射による浸潤麻酔で局所麻酔を行い、硬性鼻内視鏡を用いる場合には鼻腔に前処置を行う。
それぞれの麻酔方法の詳細を下記に記す。
プロービングで使う麻酔:キシロカイン®2%エピレナミン(1:80000)含有
鼻腔前処置で使う麻酔:中鼻道と下鼻道にナシビン®とキシロカイン®(4%粘膜用)に含ませたコメガーゼを30分前に挿入しておく。
代表的な治療器具は3つある。
- Wilderの涙道拡張針
- Bowmanのプローブ
- 三宅のプローブ
プローブの番号は0~6まであり、1番細いプローブは1本のプローブの端が0、もう一端が01の組み合わせになっており、その後は02-03、04-05となる。
通水検査と同時にプロービングを行う場合は、先端からの距離が分かるよう目盛が付いた涙道洗浄針(Bangerter針)を使うとよい。
針の先端が盲端で針穴が横にあるため、狭窄部位があってもスムーズに進む。また、2.5mlのシリンジを使うと額に強く当たらず進めることができる。
検査手順(プロービング)
- 涙点を拡張(切開)する:涙点を拡張するにはWilder拡張針を使う。涙点に対して垂直に挿入し、先端が涙小管垂直部の端に達したら、先端の向きを涙小管水平部に沿うように変え、回転させながら総涙小管の方向へ押し込む。一方、涙道内視鏡やチューブを挿入する前には耳側方向に涙点を切開してから器具を挿入する。
- 涙点~総涙小管垂直部までのプロービング:涙点閉塞があれば必ず顕微鏡下で涙点切開を行う。
- 涙小管垂直部~涙嚢までのプロービング:プロービングはNo.0のプローブから始める。三宅のプローブを用いて、閉塞した部位に到達したら、回転を加えて進めていく。上涙点、上涙小管経由のプロービングは、総涙小管まで屈曲部はなく、途中狭窄がなければ、上涙小管に沿わせてプロービングを行えば涙嚢内まで容易に進めることができる。下涙点、下涙小管経由のプロービングは総涙小管の手前に屈曲部が通過しにくいため、曲げたプローブ先端を屈曲方向へ沿わせながら進め、総涙小管に入ったところで総涙小管に沿うように方向を変えると、抵抗なく涙嚢内へ入ることが多い。
上下の涙小管の閉塞はなく、総涙小管の閉塞が疑わしい→上涙点からNo.0の三宅プローブで通過を試みる。通過したら通水検査を試みて、通水が確認できたら無理な拡張はしない方が良い。
- 涙嚢から鼻涙管下部開口部までのプロービング:涙嚢から鼻涙管へのプロービングは上涙点からアプローチする。下涙点からだと総涙小管の屈曲部で損傷のリスクがある。プローブが涙嚢内に入ると、上顎骨前頭突起に当たる硬い感触がある。そのまま進めると損傷のリスクがあるため、先端を上方や外側に向け、ゆっくり方向を変える。涙嚢内で水を注入し、膿が逆流してくれば涙道炎を合併した鼻涙管閉塞と考えられる。
多くは涙嚢から鼻涙管移行部の閉塞である。鼻涙管下部開口部の閉塞の場合は、鼻涙管下鼻道部の粘膜が腫れて、涙嚢炎を合併している。
硬性鼻内視鏡検査のポイント
- 鼻腔に前処置を行う。
- 涙嚢炎があれば培養も行う。
- 先端が強く接触すると出血の原因になるため注意する。
3.涙道内視鏡
涙点から涙道内視鏡を挿入し、閉塞部位を直接視覚的に確認することができる。涙道内視鏡は外径が20Gであるため、上涙点から挿入する。
手技は涙道プロービングと類似するが、総涙小管は裂けやすく、慎重に操作を行う必要がある。
4.涙道造影検査
涙道内に造影剤を注入し、涙道の形態や閉塞部位、鼻腔との位置関係を画像で確認できる。
造影剤は安全性の高い非イオン性造影剤のイオパミドールを用いる。もし涙嚢内に膿があれば、涙道洗浄針で洗浄を行う。
透視中、周囲組織へ造影剤が漏れていれば検査を造影剤注入を中止する。
5.CT
医原性、外傷、鼻腔・副鼻腔炎症や腫瘍が疑われる場合に行う。断層画像によって閉塞の原因を確認することができる。