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涙嚢鼻腔吻合術とは
涙嚢鼻腔吻合術は鼻涙管閉塞が適応となる。特に、鼻科的手術後および交通外傷などによる骨性閉塞の症例では涙管チューブ挿入術は適応とならないので、涙嚢鼻腔吻合術が行われる。
涙嚢鼻腔吻合術~鼻外法~
涙嚢鼻腔吻合術~鼻外法~
- 麻酔(滑車下神経ブロック+周囲の皮下浸潤麻酔、鼻粘膜麻酔)を行う。
- 内側眼瞼腱より下方の前涙嚢稜もしくはやや前方を目標にして眼輪筋を鈍的に分け、開創器をかけていく。
- 内側眼瞼腱を確認し、その下方の上顎骨を露出する。
- 上顎骨の骨膜を切開し、骨膜ごと涙嚢を耳側に移動させる。
- 電動ドリルで前涙嚢稜よりも鼻側から骨窓を作成する。
- 骨窓の上限は内側眼瞼腱、後方は篩骨洞、下限は骨性鼻涙管の入り口となる。
- 露出した鼻粘膜にボスミン®入りのキシロカイン®を注射し、麻酔効果とともに粘膜の収縮を図る。
- 鼻粘膜と涙嚢粘膜にそれぞれ前弁、後弁を作製し、後弁同士を縫合したのち、涙管チューブを2組挿入し、前弁の縫合を行う。
- 眼輪筋および皮下組織の中縫いを行ったのち、皮膚を縫合し、最後に抗菌薬を塗布したガーゼを鼻内に挿入する。
涙嚢鼻腔吻合術~鼻内法~
涙嚢鼻腔吻合術~鼻内法~
- 麻酔は同様だが、鼻内視鏡下で涙嚢に当たる部位の鼻粘膜へ、2%キシロカイン®の注射を行う。
- 鼻粘膜および骨膜の切開は中鼻甲介を基底としたコの字型に行う。
- 剥離した粘膜弁は切除せず、涙嚢を開放してステントを挿入したあと、粘膜の欠損部を覆うのに用いる。
- 電動ドリルあるいは骨ノミを使用し、骨窓を作製したら露出した涙嚢外壁を縦に切開し、両端に減張切開を加える。
- 涙嚢粘膜を確認し、ガーゼにより圧迫固定を行う。
- 残していた鼻粘膜弁で粘膜の欠損部分を覆うと、粘膜の修復が促進される。
- ステントとして涙管チューブやシリコンスポンジなどを使用し、最後に抗筋難航を塗布したガーゼを鼻内に挿入する。
涙嚢鼻腔吻合術の術後管理
いずれの術式でも鼻内ガーゼは1週間後に抜去し、さらに鼻外法では皮膚縫合を抜糸する必要がある。そして、約2週間おきに涙管通水を行い、抗菌薬および低濃度ステロイド点眼を用いる。ステント抜去は8~12週間後に行う。
参考文献
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