だいぶ涼しくなり、スポーツの秋という感じになってきましたね。スポーツには怪我が付き物ですが、私が勤務する病院にも目にボールが当たった野球少年や相手チームにぶつかり目を怪我したラグビー部員などが来院します。
そこで、「いったいどのスポーツで目の怪我が多いんだろう?」と思い、論文検索したところこの論文を見つけました。皆さんもどのスポーツが1位になるか予想しながら記事を読み進めてくださいね。
論文の内容
今日紹介する論文は2016年にルガーノ大学のR Sterling Haringらが発表した論文です。タイトルは『Epidemiology of sports-related eye injuries in the United States(アメリカでのスポーツに関わる目の損傷の疫学)』
アメリカでの研究だから日本にそのまま当てはまるかは分かりませんが、もし自分あるいは自分のお子さんらがしているスポーツがあるか一度確認をしてください。
研究は120847人(男96872人、女23963人)に対して行われており結果は下記の通りです。
Injuries occurred most commonly among males (69 849 [81.3%]; 95% CI, 80.6%-81.9%) and occurred most frequently as a result of playing basketball (22.6%; 95% CI, 21.7%-23.6%), playing baseball or softball (14.3%; 95% CI, 13.7%-14.9%), and shooting an air gun (11.8%; 95% CI, 10.8%-12.8%). Odds of presentation to the ED with impaired vision were greatest for paintball and air gun injuries relative to football-related injuries (odds ratio, 4.75; 95% CI, 2.21-10.19 and 3.71; 95% CI, 2.34-5.88, respectively; P< .001).
- 男の81.3%が目の怪我をしていた
- 最も頻度が高いのはバスケットボールで22.6%、野球もしくはソフトボールで14.3%、エアーガン射撃で11.8%
- 視力障害はサッカーに比べペイントボール(圧縮ガスを利用した銃でペイントボールと呼ばれる小石サイズの、野菜の色素を基にして作られた無毒性塗料入りの弾丸を対戦相手に向けて発射し勝敗を競うスポーツ)では4.75倍、エアーガンで3.71倍
ただし、この結果にある射撃などは日本では見かけないスポーツも含まれていますが、サバイバルゲームなどが流行っている昨今なら被害は拡大する恐れもあります。
ぜひ自分あるいは自分のお子さんらがしているスポーツがそのような危険がないか今一度確認をお願いします。
参考文献
JAMA ophthalmology 134 (12), 1382-1390, 2016