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傾斜乳頭症候群とは
胎生期の眼杯裂閉鎖不全による乳頭異常で両眼性が多い。乳頭が傾斜し、扁平な楕円形となっている。傾斜乳頭症候群として5つの特徴が挙げられる。
傾斜乳頭症候群の合併症
- 視神経乳頭逆位
- 先天下方コーヌス
- 鼻下側での眼底の色素減少(豹紋状)
- 上方あるいは上耳側視野の沈下(豹紋状眼底に対応して、上耳側の楔状に広がる鼻側放射状線維障害型の視野欠損)
- 近視性斜乱視(70~80%程度)
乳頭所見がうっ血乳頭に類似するため鑑別が重要となる。
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傾斜乳頭症候群の検査所見
1.眼底所見
- 楕円形の傾斜乳頭(多くは下鼻側縁が陥凹し、上耳側の乳頭縁が突出)
- 視神経乳頭逆位
- 先天下方コーヌス
- 鼻下側での眼底の色素減少(豹紋状)
2.光干渉断層計(OCT)
垂直方向のスキャンが有効で、下方ぶどう腫辺縁が黄斑部を横切る症例では、典型的には黄斑部をはさんで下方の網膜・脈絡膜・強膜が後方へ落ち込んだような所見となる。
3.蛍光眼底造影検査(FA)
網膜色素上皮萎縮に伴うwindow defectとして、早期からぶどう腫辺縁部に沿った過蛍光を認める。
4.インドシアニングリーン蛍光造影(IA)
早期はFAと同部位が低蛍光となる。
5.視野検査
約2割に上耳側1/4盲を示す。傾斜乳頭症候群が軽度の場合はGoldmann視野では異常が示されないことがあり、Humphrey視野など静的量的視野が必須となる。
傾斜乳頭症候群の治療
根本的な治療はなく、近視性乱視に対して屈折矯正を施行する。色素上皮萎縮、漿液性網膜剥離があっても、視力良好なら経過観察を行う。ただし、合併症があればその加療を行う。
傾斜乳頭症候群の合併症
傾斜乳頭症候群の合併症
- 緑内障
- 前部虚血性視神経症
- 漿液性網膜剥離
- 下方後部ぶどう腫に伴う脈絡膜新生血管
- ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)
参考文献
- 眼科学第2版
- 黄斑疾患診療AtoZ
- クオリファイ7視神経疾患のすべて(専門医のための眼科診療クオリファイ)
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- あたらしい眼科 Vol38,No.10,2021
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