脈絡膜とその疾患

脈絡膜骨腫

ドクターK
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脈絡膜骨腫ってどんな病気なの?

と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。

脈絡膜骨腫とは

10~20歳代の女性に多い、骨化を伴う脈絡膜良性腫瘍である。眼底後極部(特に視神経乳頭周囲)に生じることが多い。眼性の頻度(約3/4)が高い。典型例は黄橙色の境界明瞭な病巣を呈するが、網膜色素上皮(RPE)の障害などにより色調は異なることがある。

初期は扁平で、経過とともに隆起や凹凸を生じることがある。脈絡膜骨腫は10年の経過観察中、約半数で脈絡膜新生血管(CNV)を伴い、視力障害の重要な因子となる。CNVを伴う際には、網膜下液の貯留、漿液性網脈絡膜、網膜下出血を繰り返す。骨腫に隣接した網膜色素上皮も変性による不整や肥厚を示し、網膜は徐々に菲薄化していく。

脈絡膜骨腫の検査所見

眼底検査

組織内には石灰化と骨吸収による脱石灰化の病巣を認める。脱灰化すると散在性、斑状の色素脱失を認める。

Eye Rounds HPより引用

光干渉断層計(OCT)

OCTでは脈絡膜骨腫に一致した部分が限局性の占拠性病変を示し、網膜色素上皮が隆起している。脱灰化している場合は、網膜外層の菲薄化と視細胞の欠損、さらにRPEの脱色素により腫瘍表面が不整な高反射域として観察される。石灰化している場合は網膜外層が保たれる。

フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)、インドシアニングリーン蛍光造影検査(IA)

FAでは造影早期から病巣に一致して組織染による過蛍光を示し、後期に至るまで過蛍光が持続し、大きな変化は見られない。IAでは早期にブロックによる低蛍光を示す。

OCTA

造影検査で腫瘍自体が過蛍光のため、CNVを検出できないことがある。その場合に用いると、CNVが検出できることがある。

Bモード超音波断層検査

骨腫に一致して限局性の高いエコー反射を示し、その後方には音響陰影が見られる。

CT

CTでは骨腫に一致した部位が高吸収域となる。

脈絡膜骨腫の治療

CNVに対しては網膜光凝固術、経瞳孔温熱療法、光線力学療法、抗VEGF薬治療が行われる。

参考文献

  1. あたらしい眼科Vol37、No1、2020
  2. あたらしい眼科Vol38、No1、2021
  3. 眼科学第2版
  4. あたらしい眼科Vol39、No6、2022

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